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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 95越して「消滅集落」へ向かっている状況であるが,介護保険が導入されて以来,社会福祉協議会に情報が入りにくくなっているという14。そこで,地域全体での高齢者の....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 95越して「消滅集落」へ向かっている状況であるが,介護保険が導入されて以来,社会福祉協議会に情報が入りにくくなっているという14。そこで,地域全体での高齢者の見守りネットワークをどのようにつくっていくのかが大きな課題となっている。ネットワークづくりのために,北川村社会福祉協議会では,高齢者世帯に対して「心配ごと訪問」による生活状態の聞き取り活動を10年以上前から始めており,住民の要望を聞いて,移動支援や生活支援を行政につなぐ取り組みに力を入れているということである。誰が地域をつなぐのか,ということは地域の事情と取り組むべき課題によってさまざまであろう。高齢化が進む過疎地域において地域の現状を把握し,地域住民の合意形成を図りながら維持可能な地域のあり方を考えていくには,地域住民の自主的な活動だけでは難しいことが多い。また,行政による支援も,平成の大合併による影響や,2003年以降のいわゆる「三位一体の改革」の影響により必ずしも十分な機能を果たせない場合が多い。そこで,住民の意思を尊重しながら新しく地域をつなぐあり方について,生活基盤整備のようなハード面の支援だけでなく,「人の支援」のような,ソフト面での支援をどのようにつくっていくのか,ということが求められている。Ⅲ 地域社会システム -集落再生に向けた住民参加のワークショップ-151.「集落再生」の視点形成(1)集落の限界化大野晃が「限界集落」という概念を世に問うたのは1990年代のはじめであった。周知の通り,限界集落は「集落の人口の50%以上が65歳以上の高齢者で,集落機能が低下した集落のこと」と定義されるが,実際には便宜上,集落人口の高齢化率が50%を超えると「限界集落」にカウントされることが多い。高知県下で最も高齢化率の高い自治体は大豊町であるが,大豊町の全集落数は85(すでに1集落は消滅)で,平成4年(1992年)の限界集落数は5,限界集落率は5.9%であった。それが平成21年(2009年)には限界集落数は58,限界集落率は68.2%に達している16。