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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 97行政関係の資料を散見すると,限界集落に代わって「小規模・高齢化集落」を使用している頻度が高い19。農林水産省によれば,小規模・高齢化集落とは「農家戸数19戸....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 97行政関係の資料を散見すると,限界集落に代わって「小規模・高齢化集落」を使用している頻度が高い19。農林水産省によれば,小規模・高齢化集落とは「農家戸数19戸以下で農家人口の高齢化率が50%以上である集落」というから,おおよそ限界集落と重なり合っている。ただ,大野晃による限界集落の定義には,「集落の人口の高齢化率が50%以上である」ことと同時に,「集落機能が低下している」ことが含まれていることを忘れてはならない。大野が「限界」としたのは,集落規模の小規模化(戸数減少)そのものであったり,集落人口の高齢化そのものを指したりしているわけではない。それらが要因となって,集落が集落として機能できない,限界状態にあることを意味したのではないかと考えられる。しかし,「集落機能の低下」を何らかの統一された指標で図ることは難しく,また,集落の小規模化や高齢化が深化する過程においても,集落機能は維持される傾向にある20。結局,「数値」としてわかりやすい,小規模化や高齢化が指標となって限界集落が扱われているのが現状である。扱いやすさからみると,行政関係が使用している「小規模・高齢化集落」の方が,今後は一般的な用語として用いられるようになるだろう。また,限界集落の行き着く先は消滅であり,そこに持続可能性というイメージを描くことは難しい。つまり,「限界集落における持続可能性」をイメージすることは非常に困難であるが,「小規模・高齢化集落における持続可能性」であれば,文字通り「可能性」を感じることができる。このようなイメージは,限界集落に該当する地域の住民も同様に持つことができるかもしれない。また,持続可能性をイメージできることによって,「再生」という新たな課題が生まれてくるのではないかと考える。(3)「消滅集落」にならないためには小田切徳美は中国山地の集落調査の知見に基づき,集落が限界化していくプロセスを人口と集落機能の動態から模式化した(図表Ⅲ-1)。小田切は集落機能に着目し,「限界集落の臨界点」を指摘し,臨界点までに何からかの行政施策を施さなければ集落は消滅すると指摘している21。限界集落になる前に手を施さなければならないというこの理論に従えば,高