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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 99タルの強固さにかかっていると主張する22。「寄り合い」などの集落機能が低下している限界集落において,最後まで残るソーシャル・キャピタルは何なのか。それは,....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 99タルの強固さにかかっていると主張する22。「寄り合い」などの集落機能が低下している限界集落において,最後まで残るソーシャル・キャピタルは何なのか。それは,「人と人とのつながり」に他ならない。ところで,持続可能な地域づくりでは,さまざまな人や主体との協働や合意の形成が重要となってくる23。そして,地域の課題や資源に気づき,それを地域・コミュニティに関わる人々の間で共有する。それをきっかけにして,活動を開始する際には,さまざまな人との解決策の検討や,活動計画を決定するための合意形成が必要となる。地域づくりは,大きく4つのステップ(①気づき・学び,②合意・計画づくり,③活動実施,④ふりかえり)を繰り返して進められると考えられる。集落の「寄り合い」の代表は「総会」であり,それはどの集落においても基本的に「ある」ものである。集落人口が減少して数名で構成されるようになっても,区長,副区長,会計,班長…という小さな行政組織が存在する。それが,日本の集落=ムラの基本組織である。しかし,その総会は「一戸一票」,つまり一戸前の原理で開催されるものであり,集落の住民一人一人が発言権を持っているわけではない。過疎化して女性しかいない世帯では女性が世帯主になるが,男性がいれば男性が世帯主となり,総会の出席者となる。農村社会のソーシャル・キャピタルの一つである「寄り合い」を通じて,住民一人一人意見をくみ取り,集落での活動計画を決定する合意形成のために「寄り合い」をする,そのような新しい「寄り合い」のあり方が問われている。2.香美市物部町におけるワークショップ -新しい「寄り合い」へ-そこで,持続可能な地域づくりを実践するために,なるべく多くの地域住民に参加してもらい,地域の課題と解決方法について意見を出しあってもらうワークショップを,課題解決のための寄り合いと位置づけて試行してみることにした。(1)対象集落の地域特性ワークショップを実施したのは,香美市のA集落とB集落においてである。A 集落とB 集落の生活実態については,別稿で詳しく論じた24。平成20年11月