103号

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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 105地域福祉活動を活性化させ,地域づくりを進めてゆくためには,要介護高齢者や障害者等の要援護者を中心に,同じ地域共同社会を構成する同一住民としての感情をもて....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 105地域福祉活動を活性化させ,地域づくりを進めてゆくためには,要介護高齢者や障害者等の要援護者を中心に,同じ地域共同社会を構成する同一住民としての感情をもてる関係性が基盤を形成していることが不可欠となる26。そのためには,要援護者を特別扱いするのではなく,要援護者に対する必要な支援をきちんとおこなうと同時に,要援護者の努力する姿やエネルギー,表情や笑顔,人柄等から,周囲の住民自身が生きる力を受け取るような双方向の関係性があるかどうかが重要になる。その人の生きてきた人生に耳を傾け,大切にしていること,想いや願いに寄り添い,心の交流を始めることによって,あるいは,その人のひたむきさや心優しさに接することによって,地域にとって「かけがいのない人」であることが感得できる。地域福祉は,住民どうしの共同社会関係や地域に対する愛着心を基盤にしつつ,要介護高齢者や障害者,児童一人ひとりに対する個別支援の眼と,住民全体を視野に収めつつ,「住んで良かった,住み続けたい地域」を維持,創造,発展させてゆく地域開発の眼の複眼をもち,双方を実践してゆくことを本質としている。それは,一人ひとりに寄り添った支援を大切にする「社会福祉」の眼と,皆が幸せになれる地域社会を築き発展させてゆこうとする「福祉社会」の眼の複眼思考と言うこともできるし,その両者は,それぞれ「地域福祉」の「福祉」の部分と,「地域福祉」の「地域」の部分を強調していると言うこともできるだろう。地域福祉の本質は,家族になぞらえることもできる。家族は,親や子,孫など,一人ひとりを気遣い,心配したり励ますと同時に,その一人ひとりは家族全体の幸せと絆を大切に思い,守りたいと願う。そのような関係が地域に生まれるとき,地域は住民一人ひとりを思いやり,大切にすると同時に,住民個々人は,地域に対する愛着心をもちつつ,その良さを守り発展させたいと願う。それは,「地域は家族」という表現に凝縮することができるであろうし,実際,高知県内各市町村,地域の住民から発せられた言葉である。高齢者の孤独死対策,児童虐待対策,地震対策というように,地域の重大な問題に対して「対策」が強調されるようになっているが,それらの「対策」の基盤は「人のつながり」である。どの高齢者がいつもと様子が異なるのか,ど