103号

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110 高知論叢 第103号が悪化し,結果的に孤立してしまうタイプである。本人が見守られることに納得している場合で,協力することができる場合には,本人も,台帳作成や連絡票配置に協力したり,出かけるときには近....

110 高知論叢 第103号が悪化し,結果的に孤立してしまうタイプである。本人が見守られることに納得している場合で,協力することができる場合には,本人も,台帳作成や連絡票配置に協力したり,出かけるときには近隣に声をかけてから出かけるなどの対応が求められる(「見守られ上手」になる)。本人が見守られたり,集まりに出かけることに消極的,拒否的である場合には,さりげない見守りやあいさつをしたり,その人の好むことで話題を共有する関係を作ることにより,本人が意識しない見守りから始めることも考えられる(「見守り上手」になる)。要援護者が周囲との関係を持とうとしない背景には,心の壁を作る特別の事情がある場合や,集団的な場や活動を好まないこともあるので,一人ひとりの気持ちに寄り添った見守り方法や関係づくりを工夫する必要がある。認知症や障害に伴ういわゆる問題行動によって周囲との関係が悪化している場合には,保健師や民生委員,相談支援従事者などが介在しながら,本人との信頼関係を作りつつ住民に理解を求めたり,その人の良さや長所が発揮される機会を設け,かけがいのない存在として再認識してもらえる関係づくりが求められよう。逆に,要援護者「個人」が日々の生活に不安を覚え,見守りを求めていても,周囲の住民組織・団体・事業者等の「環境」が反応していない場合には,見守りは機能しない。そのように,個人と環境の関係は一方通行だけではなく,双方向の作用によって変化しうる。要援護者個人が見守られていない状態から,周囲の環境の働きかけによって本人の心が開かれる場合もあるし,要援護者個人や家族の不安の訴えに基づき,周囲の環境要因が起動する場合もある。そのような個人と環境のダイナミズムが好循環を描くことによって,見守り活動等の生活支援は効果を発揮してゆくであろう。3.住民主体の居場所づくり見守り活動が個々の要援護者に対する「点」のような活動であるとすれば,サロン活動等(サロン,ミニデイ,宅老所,あったかふれあいセンターなど)の居場所づくりは,地域の拠点に集まることを通じて生きがいや健康づくり,見守り,地域の生活課題解決を図るという意味で,「円」のようなサークル型