103号

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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 119を通じて,集落間の合併は容易ではないことが判明した反面,地域の生活課題を解決し,地域の固有価値を保持,発展させるうえで,地域間の協働が好影響をもたらすこ....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 119を通じて,集落間の合併は容易ではないことが判明した反面,地域の生活課題を解決し,地域の固有価値を保持,発展させるうえで,地域間の協働が好影響をもたらすことが明らかとなった。おわりに限界集落における高齢者の総合的な生活実態調査,地域福祉と行政の双方における生活支援のあり方を探るための地域調査をふまえ,本稿では,総括的な意味で,各専門領域の立場から,限界集落の生活支援システムを方向提起した。行政システムとしては,集落実態調査の早期実施,小規模集落を焦点とする政策理念の明確化,組織的支援と人的支援,集落自治による集落計画の策定,小集落応援隊の組織化支援,地域活性化総合補助金の創設,等を提起した。財政システムとしては,住民の生活を維持するための「人の支援」に重点を置くとともに,高知県の地域支援企画員制度について,その活動の継続性や機能の明確化の観点から改革課題を示した。地域社会システムとしては,寄りあいシステム等によるソーシャル・キャピタルの強化,持続可能な地域づくりのための住民参加型ワークショップ,集落外部の諸機関との協働,集落リフオーム活動,等の方向を示した。地域福祉システムとしては,「個別支援」と「地域づくり」の複眼思考で地域福祉を形成することを基本視座としつつ,「点」としての見守り型活動,「円」としての居場所づくり,「面」としての計画型活動を住民主体に発展的に展開する方向を示した。地方の限界集落を地域住民は「限界」と捉えているわけでもなく,飛躍的な発展を期待しているわけでもなく,今ある生活を大事にしたいと願っている。本稿は,少数世帯集落等の生活実態・地域調査をふまえて,そのような住民と等身大の視点に立ちつつ,悲観説でもなく,大規模開発や大規模合併の方向をめざす立場でもなく,小規模集落を正面から見据えて住民の生活権を保障するシステム方向を提起したものである。