103号

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124 高知論叢 第103号みが必要である。とくに,後者の雇用機会を埋める仕組みづくりには,求職者と求人企業のマッチング,そのための効率的な情報受発信,雇用機会に合致する教育訓練,そして,雇用機会のある職種....

124 高知論叢 第103号みが必要である。とくに,後者の雇用機会を埋める仕組みづくりには,求職者と求人企業のマッチング,そのための効率的な情報受発信,雇用機会に合致する教育訓練,そして,雇用機会のある職種へ労働力を誘導するための賃金額,キャリアプランの提示といったインセンティヴが必要となる。近年,日本の労働市場における労働力の滞留,つまり失業の原因として,需要不足とミスマッチがあげられるが,その原因として求職側と求人側の双方が発する情報に不十分な点があるといえないだろうか。以上のような観点から,本稿では,筆者が監修した『高知県の求人・求職者の意識調査報告2011』1 について,求職者と企業の情報ニーズに注目し再考する。そして企業の人材ニーズと求職者の技能にも目をむけ,求職者と企業とのあいだにおける情報受発信のミスマッチを起因とした労働需給のミスマッチが生じていないかを考察する。求職者を対象とした調査はハローワークにてアンケートの配布・回収をおこなっているので,調査結果に基づく記述において,求職者とは,ハローワークを利用する求職者に限定される。しかし,本稿で問題とするのは,ハローワークの機能そのものではなく,日本や地域における求人・求職情報のあり方であり,労働市場全体の課題への接近をめざしている。以下では,まず,求職者のニーズと企業側の人材ニーズをデータから明らかにし,次に企業側の人材ニーズと求職者の状況について検討していく。そして,最後に,それらの考察から課題解決の方向性を探る。1 高知県地域共同就職支援センター(事務局 高知県経営者協会就職支援室)『高知県における求人・求職者の意識調査報告2011』は, 厚生労働省(高知労働局)の委託事業として実施された調査報告である。アンケートは, 求職者については2010年5-6月, 高知県下のハローワークを訪れた求職者984名にその場で記入してもらい回収。求人企業については同年8-9月に実施。県内企業は製造業10人以上, 非製造業30人以上の中から1,278社を選び郵送方式にて調査票を配付(回収434社,回収率34.0%)。産業別構成は,製造業30.6%,医療・福祉19.6%,卸・小売11.8%,サービス10.4%,土木・建設6.0%,運輸5.8%,その他13.4%。筆者は,調査票の設計段階に参加し,結果の集計・分析の監修と最終まとめを行った。