103号

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雇用のミスマッチについての一考察135いると考える。つまり,欧米システムに見られる「職務を特定して入っていくジョブ型」雇用契約ではなく,日本型雇用システムの「共同体に入っていくメンバーシップ型」の雇用契....

雇用のミスマッチについての一考察135いると考える。つまり,欧米システムに見られる「職務を特定して入っていくジョブ型」雇用契約ではなく,日本型雇用システムの「共同体に入っていくメンバーシップ型」の雇用契約のもと,日本では,ほとんどの職種や熟練が企業内部に閉じていて,企業の外の労働市場のなかで職種や熟練を,企業横断的な共通基準をもって認識してはこなかった。したがって,現在の求人・求職情報双方に,仕事内容や熟練内容の明確な受発信を欠いているのは,そのためだと考えられる。現在,上記の労働者側の技能情報の不足を補填するジョブカードの仕組みが展開されている。日本の労働市場のジョブ型への変容を促進する媒体としてジョブカードが位置づけられるが,日本において,ジョブ概念が定着し職種別労働市場が形成された場合にジョブカードは本格的意味をもつであろう。それには企業側も,技能や熟練を採用基準として明確に情報発信するようになる必要がある。つまり,ジョブカードの普及が進み労働市場が変容するか否かは,企業によるその積極的な導入が鍵となるであろう。おわりに以上,『高知県の求人・求職者の意識調査報告2011』のデータをもとに労働市場における情報について考察してきたが,現在の日本の労働市場のなかの労働力の滞留,つまり失業の一因が,求職ニーズと求人ニーズの不一致にあることが確認され,さらに,双方が発する情報の質量の不足に対する双方の不満も確認できた。そして,それらが今日,求人・求職活動双方をより消極化しているのではないかと考える。現在は,雇用機会の創造,および求人ニーズと求職者の積極的マッチングが課題であり,中長期的には,少子高齢社会の将来を見据えた人材育成が必要である。そのためにも,労働市場の効率化は重要課題であり,そのためには社会的に,必要な労働力について明確化し情報提供する必要性に迫られている。「ジョブ型雇用契約」と形容し特徴を明らかにしている。