103号

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56 高知論叢 第103号官とは格差があると見られていた。8. 大元帥の階級は軍官等表において明治4年兵部省官等表と5年海軍省官等表に記されている。明治4年以降も大元帥は天....

56 高知論叢 第103号官とは格差があると見られていた。8. 大元帥の階級は軍官等表において明治4年兵部省官等表と5年海軍省官等表に記されている。明治4年以降も大元帥は天皇の称号であった。以上のように,天皇親裁の下で,軍高官は命を賭して国家を守る特殊公務員のトップとして,統帥権独立を主張するには充分な根拠と必然性があった。また,統帥権独立はすでに太政官制の初期から内在するものであり,ある日突然統帥権濫用が始まったものではなかった。ただし,憲法制定以降において,君主,政府,議会の役割が,有機的・統一的に理解されなかった事が,結果として統帥権濫用を招いた事は歴史的事実であり,そのことは文・武官僚制度そのものとは別の次元の問題であった。日本の官僚制度成立後,文官はあくまで国家と元首のために,武官なみに“生命を賭す”ことが使命となった。そして“生命を賭す”という言葉だけが,官吏の模範的職務行為を意味する慣用語として後世まで残った。