103号

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古典派からマルクスへの転回65である1)」(Ibid.)点をあげ,第二として,「生産の直接的目的および規定的動機としての剰余価値の生産」(Ibid., S. 887)に言及している。ここで,商品が生産物の一般的形態であ....

古典派からマルクスへの転回65である1)」(Ibid.)点をあげ,第二として,「生産の直接的目的および規定的動機としての剰余価値の生産」(Ibid., S. 887)に言及している。ここで,商品が生産物の一般的形態であるという第一の特徴には,労働力の商品化が内包されていることに注目してよい2)。なぜなら,生産手段と生活手段からなる労働生産物の商品への全面的な転化は,資本家による生産条件の排他的所有と同義だからである。だから,剰余価値生産の基礎としての単純流通は,労働力をふくむ全面的に発展した商品流通である。ところが,剰余労働をもって労働力のいわば本来的な属性とみる立場にあって,剰余労働自身にその生成をもたらす社会的な要素がふくまれないという認識から,単純に生産物と労働力との商品化を規定する生産関係の差異のみに着目される。もし剰余労働が階級関係の作用によるとすれば,流通部面での対等な商品所有者どうしの関係と区別して,生産過程での労資の支配従属関係を別個に規定する必要性がうまれる。ぎゃくに,剰余労働を労働力の自然的な属性とみなす立場からすれば,『資本論』第Ⅰ巻第1篇では,労働生産物の商品への転化を規定する単純な商品生産関係が分析対象となる一方,第2篇から労働力商品が登場するより高度な生産関係が問題になると理解される。「マルクスの学説によれば,資本主義の本質的な標識はつぎのとおりである。(1)生産の一般的4 4 4 形態としての商品生産。…資本主義の第二の標識は,(2)労働生産物ばかりでなく,労働そのものも,すなわち人間の労働力も商品形態をとる,ということである。」(レーニン「ナロードニキ主義の経済学的内容とストルーヴェ氏の著書におけるその批判」『レーニン全集』第1巻,大月書店,471ページ,圏点 レーニン)ここで,資本主義の一般的前提3)としての単純流通について,せまいとらえ方がある。単純流通を小商品生産者間の取引とみなすばあい,単純に生産物の商品への転化がそれのふくむ剰余労働の剰余価値への還元のための前提条件と理解されるにとどまる。つまり,生産要素はすべて流通から商品として取得されるから,労働力をふくむ商品取引が剰余価値生産の前提である単純流通だとして二つの契機が重層的には把握されない。そもそも,資本とは剰余価値をうむ価値と規定されるから,価値が主体となって自己増殖する。「この価値は,