103号

103号 page 72/154

電子ブックを開く

このページは 103号 の電子ブックに掲載されている72ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
66 高知論叢 第103号それが価値4 4 であるということによって,価値を創造し,価値4 4 として増大し4 4 4 ,ある増加分をえるのである。」(MEGA, Ⅱ/4・1, S. 123,圏点 マルクス)資本主義=「交換価値を土台と....

66 高知論叢 第103号それが価値4 4 であるということによって,価値を創造し,価値4 4 として増大し4 4 4 ,ある増加分をえるのである。」(MEGA, Ⅱ/4・1, S. 123,圏点 マルクス)資本主義=「交換価値を土台とする生産」(Grundrisse, MEGA, Ⅱ/1・2, S. 582)という表現も,価値による剰余価値創造という主体と客体とのあいだの因果関係を内蔵している。剰余価値生産とは,価値4 4 増殖にひとしい。「資本4 4 とは自己を増殖4 4する価値4 4 4 4 である。」(MEGA, Ⅱ/3・6, S. 2319,圏点 マルクス)まさしく,剰余価値をうみだす主体は,価値そのものである4)。したがって,剰余価値生産の前提条件は,生産要素がすべて価値をもつ商品形態で市場から調達されることである。「賃労働にもとづく生産としての資本は,流通を,その全運動の必然的な条件かつ契機としての前提している。」(Grundrisse, MEGA, Ⅱ/1・2, S.318f.)だから,価値の前貸がおこなわれるかぎりでその自己増殖分として剰余価値がなりたつという立場にたてば,剰余価値生産の基礎は,一義的に労働力を内蔵する商品流通でなければならない5)。ところが,いわば超歴史的に剰余労働をみとめる所説では,剰余価値が価値そのものの自己増殖分だというポイントが閑却される6)その反面で,生産物のふくむ剰余労働は,商品交換がなりたつ市場で,不可避的に剰余価値に還元されるという寸法になる。ここでは,一定水準以上の労働生産性の基礎上で,労働力がつねに剰余労働を支出するという認識から,その剰余労働が物質的な形態で剰余価値に還元されるしくみに関心がはらわれるため,剰余労働の剰余価値への還元の要件として,生産物の商品への転化が注目され,結局,剰余価値生産の前提である単純流通として,小商品生産者どうしの商品交換が想起されることになる。以上,本節で,剰余労働を労働力の本来の性格とみなす見解が単純流通の従来説とのあいだに内包するつながりをあきらかにした。ちなみに,単純流通を小商品生産者どうしの貨幣関係とみる考え方は,事実上,古典派のそれである。なぜなら,古典派は,単純な商品生産のなだらかな発展過程のなかで資本主義をとらえ,自営業者による生産をもって多数の労働者を雇用する工場経営の原型とみなしているからである。自営業者と資本家との相違は,剰余価値をうみだす資財のおおきさのちがいにしかない。「職工または靴屋のような独立の職人が,自分自身の仕事のための原料を購買したり,その所産が売りさばけるま