103号

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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 73は,10年後には集落機能はなくなってしまうと考えている事実がある。加えて,32集落の全体の人口を変動要素の大きな社会増減を考慮せずに推計しても,今後10年間に....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 73は,10年後には集落機能はなくなってしまうと考えている事実がある。加えて,32集落の全体の人口を変動要素の大きな社会増減を考慮せずに推計しても,今後10年間に約20%も人口が減少すると予測される一方で,住民の皆さんには,住み慣れた地域への強い愛着と定住意識があることから,このまま手をこまねいていられる状況にはない」という。そして,小規模集落への対策として2点が指摘されている。①「集落の活力を高めていく活性化対策」と,②「住民が安心して暮らし続けていくことをサポートする集落機能維持などの生活対策」である。①まずは,持続可能な集落に向けて集落住民の活力を高めるような活性化対策が重要であり,それは「別集落の対策として取り組んでいくより,むしろ一定の面的広がりをもった広域的な対応として進めていくことが,より効果的・効率的な取り組みにつながり,結果的に成功する可能性も高いもの」と考えている。②「一方,集落の置かれた状況は様々であり,住民の意欲,また集落としての金銭的な負担能力などからも,活性化対策に取り組むことが困難な集落」もあり,「いかにこれまでの生活を守っていくかという観点から,生活対策を中心に対応していくことが重要となってくる」というのである。また,小規模集落対策を進める際には,そこで暮らす高齢者住民は「年金が主要な収入源であることや,問題の内容によって住民の金銭的負担の考え方が異なることなどを総合的に勘案して,集落が取り組みやすいスキームを準備する必要がある」と,報告書では考えられている。その報告書などを受けて,広瀬勝貞知事のもとで大分県では,「集落で暮らし続けたい」という県民の「思い」や考え方に応えようと,「地域ごとの実情をより正確に把握し,その上で最適な対策を実施」しながら小規模集落での安全・安心な暮らしを確保するために,2008(平成20)年度から本庁に知事と各市町村長等をメンバーとする「小規模集落対策本部」を設置している。また,大分県では,県内の6圏域に府県の総合出先機関として6振興局を設置しており,各地域の実情に応じて小規模集落対策が行われるように各振興局単位に「地域小規模集落対策会議」を設置し,福祉や農林業,商業関係者,自治会関係者等もメンバーに加え検討をおこなっているのである。