103号

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76 高知論叢 第103号事業を実施した。具体的な取り組み内容を整理したものが図表Ⅰ-2である。7つぐらいのモデル集落における取り組みがある。隣接地区との協働・集落関係者による応援隊結成(国東市諸田地区),....

76 高知論叢 第103号事業を実施した。具体的な取り組み内容を整理したものが図表Ⅰ-2である。7つぐらいのモデル集落における取り組みがある。隣接地区との協働・集落関係者による応援隊結成(国東市諸田地区),中山間地域等直接支払制度を受ける近隣集落が出張支援(由布市奥江地区),商工会の行う宅配事業を拡大して買い物支援(佐伯市山部地区),地区住民の安全・安心確保対策(豊後大野市),集落出身者による応援隊結成(日田市旧丸蔵小学校区),地域資源を活用した生きがいづくり(中津市小柿山地区),新たな地区コミュニティ組織の育成(宇佐市南院内地区)といった取り組みである。②「奥江やぎプロジェクト」 ~由布市湯布院町奥江地区における高齢者の地域の見守りのしくみ~もう一つ具体的な事例として,由布市湯布院町奥江地区における動物のヤギを使った高齢者の地域見守りのしくみづくりをみておこう。奥江地区は,18世帯,43名で高齢化率が65%の地区である。ここでみる「奥江やぎプロジェクト」は,その内の奥江自治会13世帯全員が会員になっている「奥江ふれあいヤギの会」を中心とした小規模集落対策事業を活用したプロジェクトである。このプロジェクトは,各戸が1口500円の賛助金を支払って,地域・自治会が協働してヤギを飼育しながら,地区で共同利用したり,会員が個別に利用(レンタル・無料)するものである。ヤギは草を食べるので,高齢化・過疎化によってでてきている耕作放棄地や道路,各家の庭などにヤギをヒモでつないでおけば「草刈り」をしてくれるのである。大分県の補助金を使って,飼育するヤギの購入やヤギ小屋の設置,ヤギの病気に備えた薬の購入などを行った。高齢者に対する地域の見守りのしくみとなっているというのは,ヤギのエサになる高齢者家庭ででた野菜くずなどの収集の際にさりげない「見守り」活動ができていることである。また,高齢者もヤギを世話することによって癒し効果があり,賛助金を出しているので「自分のヤギ」という認識と愛着をもって飼育することで継続的な取り組みとなって,責任をもって世話をするという「役割」ができたことによって高齢者にとっての1つの生きがいになっている。