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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 87での時限立法として施行されていたが,後述のように,同法が2016年まで延長され,現在に至っている3。過疎対策事業の財源については,主要な役割を果たしているも....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 87での時限立法として施行されていたが,後述のように,同法が2016年まで延長され,現在に至っている3。過疎対策事業の財源については,主要な役割を果たしているものとして過疎対策事業債(過疎債)がある。通常地方債は地方財政法第5条に定められた経費にしか起債の対象にできないが,過疎債は,過疎対策立法に定められている経費であれば充当することができる4。起債充当率(一般財源に占める過疎債の割合)は原則100%で,元利償還金の70%は,地方交付税の基準財政需要額に算入される。過疎債は過疎地域の特性に合わせて起債対象が広く,起債充当率も高く,元利償還費の交付税措置も備わっているため,地方債というよりは実質的には「補助金」に近いものである5。『地方財政統計年報平成20年度版』によると,過疎債の残高は,2008年度末で1兆8953億円に達しているが,団体別に見ると,政令指定都市87億円(0.5%),中核市398億円(2.1%),特例市413億円(2.2%),都市9290億円(49.0%),町村8765億円(46.2%)であり,都市と町村が大部分を占めている。以前は町村が大部分を占めていたが,現在では町村よりも都市部で過疎債の発行残高が多くなっており,市町村合併の影響で町村が減少して都市になった影響が現れていると思われる。また,町村の場合,町村全体の地方債残高(6兆7303億円)の構成の点でも過疎債の割合が最も大きいことから(全体の13.0%),町村財政が過疎債に大きく依存していることが確認される。(2)過疎地域活性化特別措置法の延長と過疎債の「ソフト事業」への適用現行の過疎地域自立促進特別措置法は2010年3月に期限切れを迎えることになっていたため,今後の過疎法のあり方が議論されることになった。結果として,さしあたり現行の過疎地域自立促進特別措置法を改正し,2010年4月1日から2016年3月末まで6年間延長するということになった。改正によって大きな変更をともなったこととして,医師確保や生活交通の確保など,過疎債による財政支援の対象をソフト事業にも拡大すること,過疎対策事業債の対象施設の追加(図書館,認定こども園,市町村立の幼稚園,自然エネルギーを利用するための施設)がある。とりわけ過疎債のソフト事業への