103号

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88 高知論叢 第103号活用は,投資的経費しか起債の対象にならない従来の方式からすれば,例外的な措置といえる。過疎債のソフト事業への活用ができる事業範囲は,「地方財政法第5条各号に規定する経費に該当しない....

88 高知論叢 第103号活用は,投資的経費しか起債の対象にならない従来の方式からすれば,例外的な措置といえる。過疎債のソフト事業への活用ができる事業範囲は,「地方財政法第5条各号に規定する経費に該当しないものについても,人口,面積,財政状況その他の条件を考慮して総務省令で定めるところにより算定した額の範囲内に限り,地方債をもってその財源とすることができる」(過疎地域自立促進特別措置法第12条の2),とされており,かなり幅広い事業に運用ができるようになっている。従来の過疎対策事業については,過疎関係市町村の財政を支え社会資本への投資,とりわけ道路延長を促進する役割は果たしていたものの,国土計画に従属させられるような形で過疎対策が設計されることで,過疎地域そのものの問題に対する対処がなされなかったという限界を抱えていたという評価が一般的であろう6。結果として,過疎地域の人口減少自体は止まっておらず,むしろ過疎地域が拡大しているため,事業の目的である定住対策としては成功しているとは言い難い。定住対策という観点から見れば,過疎集落そのものを事業対象とするソフト事業への過疎債適用の拡大は肯定的に評価しうるものであろう。(3)新しい過疎対策としての「人の支援」過疎対策の対象は過疎要件をみたす市町村になるため,過疎対策の単位として市町村が中心におかれることになる。しかし,過疎関係市町村の間でも状況は異なっているように,市町村内部においても状況は異なっている。そこで,近年過疎対策において注目されるようになってきているのが,市町村より小さい集落単位での「人の支援」である。総務省は,人口減少や高齢化の進行が著しい地域を支えるために,「人の支援」を打ち出している。総務省地域創造力審議官の椎川忍氏によれば,民主党政権下での地域主権改革を進める際に,人材育成を通じて,地域資源を生かして知恵と創造力で富を生み出していくという「緑の分権改革」を考えている。しかし,人材育成には時間がかかるため,当面は外部の人材を活用することが必要であり,具体的には,地域力創造の「三種の神器」として,すでにある「地域おこし協力隊」,「集落支援員」,「外部アドバイザー」といった制度の活用を