103号

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92 高知論叢 第103号果の基準は住民の満足度のような主観的なものにならざるを得ない。そこで,高知県地域づくり支援課によると,どのように事業の成果を客観的な形で示すことができるのかが,今後の課題になるとい....

92 高知論叢 第103号果の基準は住民の満足度のような主観的なものにならざるを得ない。そこで,高知県地域づくり支援課によると,どのように事業の成果を客観的な形で示すことができるのかが,今後の課題になるということである。(2)外部からの「人の支援」への期待総務省が推進している「人の支援」については,高知県においても取り組みが進んでいる。2011年1月現在,地域おこし協力隊については,2地域(本山町,仁淀川町)において隊員が決定し,活動を開始している。そして,1地域(津野町)が隊員を募集中であり,2地域(大豊町,須崎市)が募集を検討している。また,集落支援員については,4市町村で取り組んでいる状況である。「人の支援」については,高知県地域づくり支援課によると,地域おこし協力隊に力を入れているということである。集落支援員は集落の点検が主な役割であるから,地区長でもできるものである。実際,高知県で設置されている集落支援員は全て市町村内部の人材に委嘱している。したがって,外部からの移住を増やすということを考えると,高知県としては都市部から意欲のある人が来てくれる地域おこし協力隊の活動に大きな期待を寄せているということである。一方,集落支援員を設置している地域からみれば,集落支援員の果たしている役割は高く評価されている。集落支援員が設置されている,中土佐町大野見北地区におけるヒアリング調査(2011年2月15日)によると,集落支援員が集落調査を行ったことで,地域の課題が明確になり,住民組織の活動に役立っているということである。また,集落支援員がいてくれることで,行政に要望が通りやすくなったということが実感されているという。中土佐町は2006年に,旧中土佐町と旧大野見村が合併して新町になったという経緯があり,旧大野見村にある大野見北地区においては,行政サービスの低下が実感されているという。とりわけ,保健師がほとんど訪問してくれなくなり,地域の高齢者の見守り活動などを進めていく上で大きな課題になっているということである。市町村合併によって周辺化してしまった地域において,行政とのかかわりが希薄化してしまうということは,他の地域でも起きている9。過疎地域を支え,集落の維持可能性をつないでいく存在として期待される