103号

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限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 93「人の支援」については,高知県内市町村においても,例えば大豊町のように独自に「地域担当」を設置して,集落の様子を把握し,住民にとって必要な支援を行なって....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(完) 93「人の支援」については,高知県内市町村においても,例えば大豊町のように独自に「地域担当」を設置して,集落の様子を把握し,住民にとって必要な支援を行なっていこうとする取り組みのように,市町村独自の取り組みもある。平成の大合併を経て市町村の範囲が大きくなっているところが多く,財政的に制限がある中で,周辺部になってしまう集落への目配りをどうするのか,ということは行政の大きな課題となっているため,「人の支援」が制度化され,よりよい運用方法を探っていくことは大きな意味がある10。「人の支援」については,導入している地域については高い評価がなされており,制度を広げていくことを期待する声もある。一方で,制度を採用する地域が大きく広がっている状況では今のところない。制度を広げる際に一つ課題になるのが,受け入れ側になる地域の準備である。例えば,過疎地域を多く抱える大分県由布市役所におけるヒアリング調査(2011年2月21日)によれば,行政として「人の支援」を受け入れたいという希望はあるものの,受け入れ側の地域が動かなければ導入に結びつかないという。「人の支援」についても,導入することそのものが目的ではなく,地域住民が自分たちの地域のあり方をどうするのかということに対する合意形成が,前提として大事になる。地域住民の主体的意思と協力体制があって始めて,外部の人材を生かすことに繋がる。そこで,地域住民の合意形成をどのように図っていくのかということを,まずは市町村が受け止めて考えていくということが求められる。こうした「人の支援」が持つ意義について,本章の最後に「新しい公共」の議論との関係において考えてみたい。(3)「新しい公共」の議論と「人の支援」の意義「新しい公共」とは,2009年に政権交代をした民主党政権が打ち出した,今後の日本社会の目指すべき方向性についての概念である11。2010年6月4日に発表された「新しい公共宣言」によると,「新しい公共」の定義は,「人々の支え合いと活気のある社会。それをつくることに向けたさまざまな当事者の自発的な協働の場が「新しい公共」である」としている。そして,「新しい公共」においては,「国民,市民団体や地域組織」,「企業やその他の事業体」,「政府」