104号

104号 page 33/94

電子ブックを開く

このページは 104号 の電子ブックに掲載されている33ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
天皇親政体制の虚実31皇が開戦前に詠じたとして有名となった。この歌の由来をめぐって様々な説がある。飛鳥井雅道氏は西南戦争前の明治9年に作られた歌とする説を支持した。明治9年,西南戦争が迫った時期に於いて....

天皇親政体制の虚実31皇が開戦前に詠じたとして有名となった。この歌の由来をめぐって様々な説がある。飛鳥井雅道氏は西南戦争前の明治9年に作られた歌とする説を支持した。明治9年,西南戦争が迫った時期に於いて,西郷贔屓の明治天皇は表に出なくなり,乗馬を許否,勉学を許否された50。西郷の死後追悼歌会が行われ,その時に詠んだとするものである。しかし,『明治天皇紀』には西南戦争時において西郷を偲ぶ歌は別の歌が記されており,日露開戦前にもこの歌の記録はない。『明治天皇紀』編纂に関わった渡辺幾治郎著『明治天皇の聖徳・重臣』にもこの歌の記述はない。「四方の海」の歌に関して日露戦争前の歌とした著作は,水島荘介『仰ぎまつる明治天皇の御聖徳』52 である。ただし,この著作は明治天皇を神格化した物語であり,記録性に乏しい。同書には明治天皇のお言葉として「唯一語『戦ふ!』と仰せられた」53とあり,明治天皇を戦時において平和を希求した聖人としては描か図5 明治天皇作成の和歌(文部省『明治天皇御集』収録のみ)050100150200250300明治11年14年17年20年23年26年29年32年35年38年41年44年(和歌収録数)明治天皇作成の和歌和歌収録数うち軍関係