104号

104号 page 65/94

電子ブックを開く

このページは 104号 の電子ブックに掲載されている65ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
TPP参加が高知県経済に与える影響評価63の影響を評価するため,平成17年高知県産業連関表を用いて推計を行った。まず高知県の試算値を参考に,TPP への参加が高知県に及ぼす直接の影響(直接効果)を農業分野と製造....

TPP参加が高知県経済に与える影響評価63の影響を評価するため,平成17年高知県産業連関表を用いて推計を行った。まず高知県の試算値を参考に,TPP への参加が高知県に及ぼす直接の影響(直接効果)を農業分野と製造業分野について求め,直接効果がもたらす生産波及効果を,産業連関表を用いて推計する。こうして推計された農業分野と製造業分野における直接効果がもたらす生産誘発効果を合わせたものを総合効果とし,具体的に高知県内のどの地域に対して影響を与えるかの検討を行う。またTPP の影響評価に関する課題の検討を行い,最後に高知県の現状を顧みて,TPP の議論をどのように捉えるべきかについて提言を行う。第1章 TPP の数量分析TPP は貿易に関する自由化を強く推し進めようとするものである。そのために関税の完全撤廃,規制の撤回,検疫の緩和など様々な自由化条件が盛り込まれており,これらがもたらす結果として,各国間の取引の活性化,つまり輸出や輸入の増加を見込んでいる。国内の産業は輸出の増加による生産活動の活性化や原材料品の低価格化による価格競争力の増強などのプラスの影響を受ける。その一方で低価格品との競争にさらされる産業では,国内での販売の落ち込みが懸念されるなどマイナスの影響を受ける。日本は現在,工業製品を他国へと輸出し,外貨を稼ぐ産業構造となっている。農産物については輸入に頼っている面もあるが,米などは関税により保護されている。すなわち上記の一般論に当てはめるならば,プラスの影響を受ける産業は主に製造業であり,マイナスの影響を受ける産業は農林水産業となる。こうした影響を把握するため農林水産省と経済産業省は,それぞれ農業分野と工業分野に対するTPP による生産減少額を求め,さらに産業連関分析を行い,他分野や雇用にどのような影響を与えるかの数量分析を行い,結果を公表している。しかし,先に指摘したとおり,個別分野の影響評価にとどまっているため,TPP への参加がもたらすトータルの結果はわからない。本章では,この2つのシナリオ44 以降,農林水産省の試算を農水シナリオ,経済産業省の試算を経産シナリオとする。