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66 高知論叢 第104号いる。そのため3分類中の具体的な産業区分は不明である。次にそれぞれの品目の輸出額の把握を行っている。2007年時点での貿易データを元に,競争力(優位,同等,劣位)及び関税率(高・中・低....

66 高知論叢 第104号いる。そのため3分類中の具体的な産業区分は不明である。次にそれぞれの品目の輸出額の把握を行っている。2007年時点での貿易データを元に,競争力(優位,同等,劣位)及び関税率(高・中・低の3分類)ごとに日本からアメリカ,EU,中国への輸出額の特定を行っている。その後2020年時点での輸出額の推計を,各国のGDP 成長率を元に行っている。最後に韓国のFTA 先行による日本の輸出減少額を,競争力と関税格差の影響を勘案し算出している。先に述べたように経産シナリオでは前提条件として,日本がTPP,日中・日EUでのEPA のいずれも締結せず,なおかつ韓国が米韓・中韓・EU 韓のFTAを締結した場合を取り上げている。この場合2020年時点で輸出が8.6兆円減少し,輸出の減少が他分野に与える影響を産業連関分析により求め,20.7兆円の生産減少,GDP10.5兆円の減少,雇用の減少が81.2万人と試算している。経産シナリオの特徴としては,輸出の減少を試算している点であり,その際に競争相手となる国に韓国を設定している点である。またTPP に参加することにより,EU や中国とのEPA,FTA などの交渉が活性化することをEPA の政治力学と表現し,将来的な貿易増加も視野に入れている。第2章 産業連関分析による高知県のTPPシミュレーション産業連関表8は,国内経済において一定期間(通常1年間)に行われた財・サービスの産業間取引を一つの行列(マトリックス)に示した統計表である。作成年次の産業構造や産業部門間の取引状況などが把握でき,また表自体を加工することにより,将来予測や経済政策の評価を行うことが可能である。日本での産業連関表の作成は関係府省庁により行われており5年に1度公表されている。また各都道府県や政令指定都市,さらに一部市町村などでも作成されている。産業連関表は対象とする地域の産業構造を明らかにすると共に,その他の地域との財・サービスの取引についても明らかにされている。例えば全国表では各産業部門に輸出・輸入の項目が存在しており,都道府県表及びそれよりも小さ8 産業連関表の概要については,総務省『平成17年(2005年)産業連関表総合解説編』p. 4を参照のこと。