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70 高知論叢 第104号修正自給率が求まることで,これを満たす修正移輸入率が確定する。この修正移輸入率に県内需要合計を乗じることで,移輸入額を求めた。最後に純移輸出から移輸入額を差し引くことで移輸出額を求....

70 高知論叢 第104号修正自給率が求まることで,これを満たす修正移輸入率が確定する。この修正移輸入率に県内需要合計を乗じることで,移輸入額を求めた。最後に純移輸出から移輸入額を差し引くことで移輸出額を求めた。続いて経産シナリオに対応するために,部門の統合を行う。統合を行う部門は一般産業機械部門からその他の輸送機械・同修理部門であり,対応する部門に応じて一般機械部門,電気機械部門,情報・通信機器部門,電子部品部門,輸送機械部門へと統合を行った。この結果,分析を行う産業連関表の部門数は98部門となる。第2節 シナリオの設定次にシナリオの設定を行う。まず農水シナリオではTPP 参加により生産額が,米については90%,肉用牛については79%減少するとの設定により試算が行われているため,本論における農業分野に対するシナリオについても同様に設定することにした。すなわち米及び肉用牛の平成17年産業連関表の県内生産額に,それぞれ減少率を乗じることで当該部門の県内生産額の減少額を推計した。この減少額がTPP による直接効果であり,更にこの減少額が地域経済での循環構造を通じて及ぼす波及効果が間接波及効果である。直接効果に間接波及効果を合計したものが,このシナリオでの高知県経済に与える影響である9。次に経産シナリオに基づく製造業分野に対するシナリオについて述べる。経産シナリオはTPP 不参加により,輸出の減少が日本経済に及ぼす影響を評価したものである。そのため高知県での輸出品目から,試算での対象となる品目を抽出する手法が考えられる。しかし,この方法では,中間製品,半仕掛品として県外に出荷(移出)され,その後,輸出される品目については評価することが出来ず,またこれらを捉えることは困難である。また,経産シナリオでは対象となる産業においてどの程度の輸出の減少とな9 農水シナリオの場合,生産額の減少による波及効果を推計する必要があるため,当該部門の逆行列係数の列ベクトルを取り出し,行列交点の数値で除し,当該部門の逆行列係数が1となるように調整を行っている。また,ここでいう間接波及効果には,消費経由の第2次間接波及効果は含んでいない。