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72 高知論叢 第104号最後に総合評価を行う。総合評価はTPP 参加による農業シナリオの減少分と,工業シナリオの増加分を比較することにより求められるが,農林水産省のシナリオはTPP 参加によるマイナスの影響を,経....

72 高知論叢 第104号最後に総合評価を行う。総合評価はTPP 参加による農業シナリオの減少分と,工業シナリオの増加分を比較することにより求められるが,農林水産省のシナリオはTPP 参加によるマイナスの影響を,経済産業省のシナリオはTPP不参加によるマイナスの影響を取り扱っているため,総合評価を下すためにはTPP 参加の影響を,同条件で評価した定量的な分析が必要である(図2)。本論においても農林水産省と経済産業省の試算を基として,高知県経済に及ぼす影響を試算しているため,上記のように2つのシナリオはマイナスの評価で表現されている。そのため,そのままでは総合評価を下すことが出来ない。そこで,これらのシナリオに対する影響について考察を行ってみると,TPPに参加した場合,農業分野については,農水シナリオが示すとおり,マイナスの影響が生じる。一方で,工業分野に対して生じる影響は,不参加によるマイナスの影響は生じないと考えることが出来る。つまり,不参加の場合に想定されるマイナスの影響(経産シナリオ)は発生せず,その損失をカバーできると考えられる。そのため,マイナスの評価をプラスの評価と読み替え,農業分野に対する影響と合わせることで総合評価を下すことができる(図3)。波及効果は含んでいない。農業分野の影響工業分野の影響出所:筆者作成現在の国内生産額現在の国内生産額図3 TPP参加が国内生産額に与える影響TPP参加で維持される国内生産額TPP参加で損失する国内生産額TPP参加後の国内生産額TPP参加後の国内生産額