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党派的に正確な投票は可能か19それぞれ減少する。つまり,不正解の確率は大幅に減少するのである。また,県議選モデルでは,「候補者数」が一人増えると,オッズ比は56%減少する。第1 節で検討した先行研究の成果と....

党派的に正確な投票は可能か19それぞれ減少する。つまり,不正解の確率は大幅に減少するのである。また,県議選モデルでは,「候補者数」が一人増えると,オッズ比は56%減少する。第1 節で検討した先行研究の成果との関連で重要な点は,「投票理由」の効果をコントロールしても,県議選モデルでは「候補者数」が多くなると不正解のオッズ比が統計的に有意に低くなること,市議選のモデルでは「候補者数」が多くなっても不正解のオッズ比が統計的に有意に高くならないこと(p = 0.511),以上の2 点を確認できたことである。本稿の仮説の通りである。さらに,本稿の鍵変数である「投票理由」と「候補者数」について,次のような人物像を設定して,正しく答えられない確率がどのように変化するか計算した。男性,30歳代,居住年数3 年以上10年未満,大学・大学院卒業,被雇用者,政党支持なし,統一地方選挙に関心を多少はもった,候補者の名前を選挙前から知っていた,人柄や考え方を選挙が始まってから知った,選挙で参考にしたものの数は2 つ,後援会に入っていない,である。なお,市議選の場合,係数は統計的に有意ではないが,確率の変化を計算することはできる。それを図示したものが,次の図1a と図1b である。市議選と県議選,いずれの図からも投票理由が政党の場合は候補者の場合よりも不正解の確率が低いことを見て取れる。また,候補者数が増えると,不正解の確率が減少していく点も同じである。市議選については,投票理由が政党の場合と候補者の場合とで,不正解の確率は大きく異なる。候補者数が6 人から14人に増加すると,前者については,不正解の確率が0.062から0.048へと,0.014というわずかな減少を見せる。一方,後者については,0.491から0.423へと,政党の場合よりも比較的に大きい0.068の減少となる。県議選については,投票理由が政党と候補者の場合とで,市議選ほどの大きな確率の違いはない。候補者数が2 人から4 人に増加すると,前者については,0.282から0.072へと,0.211の減少となる。後者については,0.652から0.268へと,0.383のより大きな減少である。市議選と県議選のいずれの場合においても,候補者数の増加による不正解確率への影響は,政党よりも候補者を投票理由として挙げる場合の方が大きい。最終的には候補者要因を重視して投票するが,候補者数が増えるに従って,第