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23 研究ノート金融商品会計プロジェクトにおけるIASB とFASB のコンバージェンスの状況山  内  高 太 郎  はじめに2008年のサブプライム・ローン問題によるリーマン・ブラザーズの経営破綻は,国際的な金融危....

23 研究ノート金融商品会計プロジェクトにおけるIASB とFASB のコンバージェンスの状況山  内  高 太 郎  はじめに2008年のサブプライム・ローン問題によるリーマン・ブラザーズの経営破綻は,国際的な金融危機をもたらした。2009年4 月にG20首脳会合における宣言の中で金融商品会計基準が問題とされたことで,国際会計基準審議会(IASB)は,金融商品会計基準プロジェクトを3 つのフェーズにわけ,国際会計基準(IAS)第39号を国際財務報告基準(IFRS)第9 号に置き換えるプロジェクト(簡素化プロジェクト)をすすめることとした。2009年7 月に金融危機諮問グループ(FCAG)が公表した報告書や,同年9 月に金融安定理事会(FSB)が公表した報告書では,IASB とアメリカ財務会計基準審議会(FASB)の金融商品会計基準の違いをなくすよう述べられ,IASB とFASB の会計基準のコンバージェンス(convergence)が重要な問題となった。2009年11月,金融危機への対応としてIASB とFASB は,それぞれの基準の改善と両審議会の基準のコンバージェンスを行うことを公表した。しかし,当初予定していた2010年にIFRS の公表という目標は大幅な変更見直しが必要となり,2012年9 月においても,フェーズ1 は完成したものの,フェーズ2 ,フェーズ3 についてはIASB とFASB の基準設定の方向性には大きな隔たりがみられる。本稿は,こうした状況を踏まえ,IASB の金融商品プロジェクトについてまとめたものである。高知論叢(社会科学)第105号 2012年11月