105号

105号 page 28/76

電子ブックを開く

このページは 105号 の電子ブックに掲載されている28ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
26 高知論叢 第105号3.フェーズ2:金融商品の償却原価と減損の状況金融商品の償却原価と減損が問題とされたのは,IASB とFASB が共同で設立した金融危機諮問グループ(FCAG)の2009年7 月の報告書の中で,貸付金....

26 高知論叢 第105号3.フェーズ2:金融商品の償却原価と減損の状況金融商品の償却原価と減損が問題とされたのは,IASB とFASB が共同で設立した金融危機諮問グループ(FCAG)の2009年7 月の報告書の中で,貸付金(及びその他の金融商品)に関連する損失の認識のおくれ,複数の減損アプローチが存在することによる複雑性が会計基準及びその適用における第一の課題4であると指摘されたことによるものである5。この対応としてIASB は,2009年11月に公開草案「金融商品:償却原価と減損」(以下,公開草案(2009))を公表し,その後,公開草案(2009)のコメントを検討した結果,2011年1 月に「「金融商品:償却原価と減損」の公開草案についての補足」(以下,補足(2011))を公表した。? 公開草案(2009)「金融商品:償却原価と減損」の概要① 適用範囲公開草案(2009)ではIAS 第39号の適用範囲を用いることとされたため,金融商品のうちIAS 第39号の適用範囲内にあるもので,償却原価で測定される金融商品が適用範囲となる。これは,IASB が金融商品に関する他の会計基準の審議,公表にともなって適用範囲が問題となることを認識しつつも,金融危機への対応の中で適用範囲が問題とされなかったことから,公開草案(2009)公表時点において問題がないと考えたためである6。② IAS 第39号における金融資産の減損の認識IAS 第39号では,金融資産の当初認識後に債務者や発行者の債務不履行により,投資の一部または全部が回収できなくなった場合,減損していると判断して減損損失を認識することになる7。IAS 第39号(2010)第58項では,減損損失を認識するために減損の客観的証拠の有無について検討しなければならないとしている。つまり,IAS 第39号では,客観的な証拠がある場合のみ減損損失が認識されることとなり,「将来事象の結果として予想される損失は,いかに可能性が高