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金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況27くとも認識されない8」というように,発生した損失のみを認識するという発生損失モデルを採用している。③ 発生損失モデルに対する批判IAS ....

金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況27くとも認識されない8」というように,発生した損失のみを認識するという発生損失モデルを採用している。③ 発生損失モデルに対する批判IAS 第39号が採用した発生損失モデルについて,次の?から?のような批判がなされた。これらの批判の中でとくに問題とされた点は,減損の認識の遅れであり,この遅れにより利息収益が過大計上されているということにある。こうした状況に対してFCAG は, 将来を考えた情報(forward-lookinginformation)を用いることを推奨した9。これに対応するためにIASB は,予想損失アプローチ(an expected loss approach)と公正価値に基づくアプローチ(fair value-based approach)10を検討した結果,発生損失モデルにかわるものとして予想損失アプローチによる会計基準の開発を選択した11。-発生損失モデルに対する批判12-? 予想損失は資産の当初測定時には内在するものの,事後測定で使われる実効金利の算定時には考慮に入れられないという点でこのアプローチは基準内で整合していない。これにより,損失事象の発生前の期間において,利息収益は構造的に,過大計上されることになる。実質的に,事後的な減損損失の一部は,それまでの期間における不適切な収益認識の戻入れである。? 発生損失は予想損失より遅れるため,これにより情報の欠損が生じることになる。信用リスクの変動は,減損損失を認識する前に越えなければならないハードルがあるため認識されないことになる。このことにより,金融資産に関連する期待キャッシュ・フローとは整合していない信用損失の認識が遅延するという構造的なバイアスが生みだされることになる。発生損失モデルでは,一度,認識規準が満たされると,金融資産の当初認識後に最初から予想されていた(が認識されていなかった)信用損失を一部反映した減損損失が認識されるという「急激な影響(cliff effect)」が生じる。? 発生損失モデルは,企業が貸付の判断を行っている方法,特に金融商品の価格決定(そのタイプの商品から生じると予想される信用損失をカバーすることを意図したリスク・プレミアムを含む)と整合しない。また,当該モデルは,予想信用損失の影響