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30 高知論叢 第105号? 公開草案(2009)「金融商品:償却原価及び減損」の公表後の検討公開草案(2009)に対するコメントでは,予想損失アプローチへの強い支持がある一方で予想損失アプローチを実務において適用....

30 高知論叢 第105号? 公開草案(2009)「金融商品:償却原価及び減損」の公表後の検討公開草案(2009)に対するコメントでは,予想損失アプローチへの強い支持がある一方で予想損失アプローチを実務において適用することが困難であるという指摘や表示,開示の負担が大きいこと,FASB とのコンバージェンスが重要である点が指摘された16。IASB は,まずアプローチについて,予想損失アプローチ,発生損失アプローチ,公正価値ベースアプローチ,IAS 第36号「資産の減損」に基づくアプローチの4 つのアプローチを検討し,予想損失アプローチを採用することを暫定的に決定した17。また,実務上適用困難とされた問題として,金融機関等で用いられるオープン・ポートフォリオで管理される金融資産への適用ということがあげられる。オープン・ポートフォリオで管理される金融資産に概念的に最も妥当であると考えられる完全キャッチ・アップ・アプローチ(full catch-up approach)18を採用するためには,新規にポートフォリオに加わった資産に対する予想損失の見積もりと従来からある資産の予想損失の見積もりの変更を区別する必要があり,このことが実務上煩雑となり,コスト負担が大きいことが予想されることが確認されたためである19。IASB は,この問題について部分的キャッチ・アップ・アプローチと非キャッチ・アップ・アプローチを検討し,部分的キャッチ・アップ・アプローチ(期 図表5 IAS 第39号と公開草案(2009)における減損損失の戻入れIAS 第39号減損損失を認識した時点以降の期間に発生した事象によって見積将来キャッシュ・フローの改善が見込まれる場合には,減損損失を純損益に戻し入れなければならない。(第65項)減損損失の戻入れ後の帳簿価額が,減損損失が認識されていなかったとした場合の評価日時点での償却原価を上回ることはない。公開草案(2009) 減損損失の戻入れは,予想信用損失の見積もりに有利な変更が生じた場合に行われる。見積もりを変更すると減損損失が自動的に戻し入れられることになる。(BC 35)予想損失の有利な変更により利得が生じる可能性があり,金融資産の帳簿価額が当初の帳簿価額を上回る可能性があるが,IASB はこの情報を重要な情報と考え,認識を除外することは考えていない。(BC 36)