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金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況31間比例アプローチ)を適用することを考えたが,FASB からFASB の減損の認識方法よりも認識額が過小となることに懸念を示されたため,IASB とF....

金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況31間比例アプローチ)を適用することを考えたが,FASB からFASB の減損の認識方法よりも認識額が過小となることに懸念を示されたため,IASB とFASBのコンバージェンスという観点から新たなモデルが検討されることとなった20。? IASB とFASB の公開草案の違いIASB とFASB の減損に対する考え方の違いは,図表6 に示した通りである。FASB の金融商品に関する公開草案21では,予想損失を見積もる場合,将来の条件を考慮することは禁止されているが,IASB の公開草案では,将来の条件を考慮することを求めている。また,目的としてFASB は十分な貸倒引当金を設定することを目的としている一方で,IASB の認識方法では十分な引当金が認識されない可能性があることや予想信用損失の認識のタイミングについて意見が対立している22。 図表6 IASB 公開草案とFASB 公開草案の違いIASB 公開草案目的:融資活動の経済的実質をより良く反映するために,実効金利の算定において予想信用損失を反映させることにあった。認識:減損は当初認識後の償却原価による金融資産の測定の一部であるとみなされ,予想信用損失の全額を即時に認識することは適切でないと考えた。問題点:予想信用損失が金融商品の全存続期間のうち早い時期に集中する場合など,損失が発生する期間に十分な引当金が認識されないことがある。FASB 公開草案目的:引当金の残高が金融商品の残りの存続期間に係る信用損失見積額の全額を十分にカバーできるようにすることであった。このため,金融商品の存続期間における予想信用損失の全額が含まれるように貸倒引当金を設定することにあった。認識:金融商品の残存期間にわたり回収できないと予想されるキャッシュ・フローを見積もり,その金額について,見積もりを行った期間に認識する(即時認識)ことを考えた。問題点:予想信用損失の見積もりにあたって過去のデータと現在の経済状況だけでは不十分である。(出所:IASB「金融商品:償却原価と減損」の公開草案への補足2011年,IN5~ IN13,川西安喜「FASB の金融商品会計の動向」『会計・監査ジャーナル』vol. 23 No. 4,日本公認会計士協会出版局,2011年4 月,102~103頁を参考に筆者作成)