105号

105号 page 36/76

電子ブックを開く

このページは 105号 の電子ブックに掲載されている36ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
34 高知論叢 第105号IASB は,一般的なヘッジ会計についての審議を終え,2012年中に会計基準を公表する予定であり,2012年9 月にドラフト32を公表している。また,マクロ・ヘッジについては2012年中にディスカッシ....

34 高知論叢 第105号IASB は,一般的なヘッジ会計についての審議を終え,2012年中に会計基準を公表する予定であり,2012年9 月にドラフト32を公表している。また,マクロ・ヘッジについては2012年中にディスカッション・ペーパーを公表する予定で審議が進められている。? ヘッジ会計の問題点IAS 第39号においてデリバティブは,通常,財政状態計算書に公正価値で認識され,公正価値の変動は純損益で認識されることとなる。このため,この基準に従うとヘッジ関係にある取引の損益が同じ会計期間において認識されないこととなるため,例外処理としてヘッジ関係にある取引の損益を同じ会計期間において認識することが認められてきた。この例外処理が,ヘッジ会計と呼ばれるものである。ヘッジ会計を用いることにより,ヘッジ関係にある取引から生じる損益を相殺して,ヘッジの効果を財務諸表で表せるという一方で,経営者の意図や判断により,ある取引について異なる会計処理を行い損益に影響を与えることができるという問題がある。ヘッジ会計の適用を限定するために詳細な規定がなされたことで基準が複雑となり,財務諸表の作成者,利用者ともに理解が困難となったことから,その複雑性が問題とされてきた。? IAS 第39号におけるヘッジ会計の概要ヘッジ会計のポイントは,ヘッジ手段(hedging instruments)33の損益をヘッジ対象(hedged item)34の損益と相殺して財務諸表において表示するというところにある。IAS 第39号では,ヘッジ手段としてデリバティブのみを認めており(為替レートの変動リスクのヘッジをする場合のみ,非デリバティブ金融資産または非デリバティブ金融負債が認められる)35,ヘッジ対象は,すでに財政状態計算書で認識されている資産または負債,未認識の確定約定,発生の可能性が非常に高い(highly probable)予定取引,在外営業活動体に対する純投資のいずれかであって36,キャッシュ・フローまたは公正価値の一部のみに関連するリ