105号

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36 高知論叢 第105号効部分は,純損益に認識する45。このように公正価値ヘッジとキャッシュ・フロー・ヘッジでは,ヘッジ手段の利得または損失の認識が異なり,とくにヘッジ手段の非有効部分の測定,認識について違....

36 高知論叢 第105号効部分は,純損益に認識する45。このように公正価値ヘッジとキャッシュ・フロー・ヘッジでは,ヘッジ手段の利得または損失の認識が異なり,とくにヘッジ手段の非有効部分の測定,認識について違いがみられる。このことは,例えば相殺率を100% と仮定して 図表8 ヘッジ関係公正価値ヘッジ公正価値ヘッジは,市場の変動によるリスクをヘッジすることを目的するもので,「認識されている資産もしくは負債または未認識の確定約定,あるいはそのような資産もしくは負債または未認識の確定約定の識別可能な一部の公正価値の変動に対するリスクエクスポージャーのヘッジであって,特定のリスクに起因し,かつ純損益に影響しうるもののヘッジ40」と定義されている。 公正価値ヘッジの例として,市場の金利変動により固定金利の借入の公正価値が変動するため,リスクをヘッジする場合があげられる。固定金利による借入では,将来の支払利息(将来キャッシュ・フロー)は固定されている。しかし,固定金利よりも市場金利が安くなった場合,市場金利よりも高い利息を支払う必要が生じ,この借入を譲渡しようとするならば,借入金額よりも高い金額が必要となる(負債の公正価値が変動する)。そこで,固定金利と変動金利を交換する金利スワップによるリスクヘッジが行われる。キャッシュ・フロー・ヘッジキャッシュ・フロー・ヘッジは,キャッシュ・フローの変動によるリスクをヘッジすることを目的とするもので,「キャッシュ・フローの変動可能性(variability)に対するエクスポージャーのうち,ⅰ 認識されている資産または負債に関連する特定のリスク(例えば,変動利付債券にかかる将来の利息の支払いの全部または一部)に起因するか,または,発生の可能性が非常に高い予定取引に起因し,かつⅱ 純損益(profit andloss)に影響しうるもののヘッジ41」と定義されている。 キャッシュ・フロー・ヘッジの例として,変動金利の借入の金利変動のリスクをヘッジする場合があげられる。変動金利による借入では,将来の支払利息(将来キャッシュ・フロー)が市場金利の変動に伴い変動する。市場金利が上昇すれば,支払利息が増加し,キャッシュ・アウト・フローが増加する(キャッシュ・フローが変動する)。そこで,変動金利と固定金利を交換する金利スワップによるリスクヘッジが行われる。在外営業活動体に対する純投資のヘッジIAS 第21号第8 項では,「在外営業活動体に対する純投資とは,当該営業活動体の純資産に対する報告企業の持分の額をいう」と定義され,在外営業活動体に対する純投資のヘッジは,為替エクスポージャーのヘッジであり,投資価値の変動に係る公正価値ヘッジではない42と考えられている。