105号

105号 page 39/76

電子ブックを開く

このページは 105号 の電子ブックに掲載されている39ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況37ヘッジ対象の公正価値が8 変動し,ヘッジ手段の公正価値が10変動した場合,非有効部分となる差額の2 は公正価値ヘッジ,キャッシュ・フロー・....

金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況37ヘッジ対象の公正価値が8 変動し,ヘッジ手段の公正価値が10変動した場合,非有効部分となる差額の2 は公正価値ヘッジ,キャッシュ・フロー・ヘッジともに純損益として認識されるが,ヘッジ対象の公正価値が10変動し,ヘッジ手段の公正価値が8 変動した場合,キャッシュ・フロー・ヘッジではこの差額の2 は認識されないという違いが生じるということである46。② ヘッジの有効性の評価ヘッジの有効性の評価については,ヘッジ開始時及びその後の期間においてヘッジ対象のリスクを相殺する上できわめて有効であることを説明する必要があり,ヘッジの実際の結果が80% から125% の範囲内となることが求められている47。? 公開草案「ヘッジ会計」① 公開草案「ヘッジ会計」の目的2010年12月,IASB は公開草案「ヘッジ会計」(以下,公開草案(2010))を公表した。公開草案(2010)は,2008年3 月に公表されたディスカッション・ペーパー「金融商品の報告における複雑性の低減」を基礎として作成されており48,第3 フェーズの一部として位置づけられている49。公開草案(2010)公表に至るまでの審議の過程で,IASB は財務諸表の作成者,監査人,利用者からの意見50を集約し,ヘッジ会計の包括的な見直しに役立てようとした。これらの意見で問題とされたのは,ヘッジ会計が複雑であることやヘッジ会計がリスク管理活動を反映していないこと,IAS 第39号が過度にルールベースであるため恣意的な結果を生じている等であった51。このため公開草案(2010)は,ヘッジ会計の複雑性を低減させ,企業のリスク管理活動を財務諸表で表すことができる包括的なヘッジ会計基準の開発を目的としている。しかし,議論が難しくなるという理由から単一のヘッジまたはクローズド・ポートフォリオのヘッジにのみ限定し,銀行で行われているリスク管理方法であるオープン・ポートフォリオのヘッジについては公開草案(2010)では取り扱われていない。