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2 高知論叢 第105号選挙では68.6%と,過半数以上を占めている。その傾向は時を追うにつれて強くなっているようにも見える(前田 2007,表2 )。もちろん,都道府県議会と市町村議会は異なるし,市町村議会の中にも....

2 高知論叢 第105号選挙では68.6%と,過半数以上を占めている。その傾向は時を追うにつれて強くなっているようにも見える(前田 2007,表2 )。もちろん,都道府県議会と市町村議会は異なるし,市町村議会の中にも大きな違いがあり,安易な一般化を避けるべきである。また,立候補に際して選挙管理委員会に党派を届け出ないからといって,候補者が党籍を持っていないとは限らない(自民党籍を有する保守系無所属の例)。しかしながら,国政選挙と比較すると,地方議会議員選挙における候補者の党派性と有権者の意識における党派性はいずれも弱いことは否定できない。地方議会議員選挙において,有権者が政党を認識する方法は,候補者が選管に届け出る党派を通じてである。政党名を選んで投票する比例代表制が存在しない以上,有権者は候補者を政党の代理人と見做さざるを得ない。政党が有権者に自らの存在を認めさせることに成功している度合いは,そもそも候補者は政党名を名乗っているか否か,政党名を名乗っている場合は,どの政党であるか,有権者が候補者の党派を認識する正確さから推し量ることができる。地方議会議員選挙においては,有権者の多くは候補者の党派を正しく認識していない可能性がある。例えば,前述の明るい選挙推進協会の調査によると,市町村議会議員選挙において「投票した人は何党の人か」という問いに対して,「無所属」との答えは33.4%に留まる2。市町村議会議員選挙においては無所属の候補者が多数を占めている以上,回答者の認識が正しくない可能性が高い(あるいは,党籍を持ちながら党派を名乗っていない候補者を「正しく」認識しているのかも知れない)。また,何らかの政党に所属している候補者に投票したとの回答が多いことから,投票に際して,有権者は候補者に政党のイメージを投影しているとも考えられる。地方議会議員選挙における党派性の低さとは直感的に反する事実であり,この点については説明を要する。本稿の目的は,地方議会議員選挙において有権者が候補者の党派を認識する正確さを検証し,それを左右する要因を明らかにすることにより,候補者の届出政党が有権者の投票選択において果たす役割についてインプリケーションを2 その他の回答が占める割合は,自民党23.1%,民主党6%,公明党7.4%,共産党4%,社民党1.4%,自由党0.5%,保守新党0.3%,その他0.9%,わからない23%。