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38 高知論叢 第105号② 公開草案「ヘッジ会計」における変更点の概要ヘッジ会計の複雑性を低減させる上で,ヘッジ会計を廃止するという選択肢も考えられたが,IASB はヘッジ会計を例外処理であるととらえながらも....

38 高知論叢 第105号② 公開草案「ヘッジ会計」における変更点の概要ヘッジ会計の複雑性を低減させる上で,ヘッジ会計を廃止するという選択肢も考えられたが,IASB はヘッジ会計を例外処理であるととらえながらも,ヘッジ会計によってもたらされる情報はヘッジ会計を適用しない情報よりも有用性が高いと考え,ヘッジ会計を維持するという結論を下した52。公開草案(2010)では,ヘッジ会計の複雑性を低減させ,リスク管理活動を反映させるという目的のために,IAS 第39号で用いられたヘッジの有効性の評価基準である相殺が 80~125% という数値基準を撤廃し53,かわりにヘッジの有効性の判定の目的に合致しており,かつ,偶然ではない相殺(accidentaloffsetting)を達成すると予想される54ことが要求されている。また,非有効部分の測定,純損益における認識を厳格に行うことを前提に,ヘッジ手段やヘッジ対象の範囲を拡大し55,ヘッジの有効性の要件を満たさなくなった場合,新たなヘッジ関係を再指定するのではなく,バランス再調整(rebalancing)を認めている56。さらに,図表9 に表したように公正価値ヘッジの処理をキャッシュ・フロー・ヘッジの処理にあわせて変更する提案がなされている57。IASB は検討段階において,公正価値ヘッジをなくし,キャッシュ・フロー・ヘッジのみとするこ 図表9 IAS 第39号と公開草案(2010)における公正価値ヘッジの処理方法の違いIAS 第39号公開草案(2010)ヘッジ手段ヘッジ手段の再測定による利得または損失は,純損益で認識する。ヘッジ手段の再測定による利得または損失は,その他の包括利益に計上する。ヘッジ対象ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象にかかる利得または損失は,ヘッジ対象の帳簿価額を修正して,純損益で認識する。ヘッジ対象にかかるヘッジ利得または損失は,財政状態計算書上の独立した表示科目として認識し表示するとともに,その他の包括利益に計上する。ヘッジの非有効部分ヘッジ手段とヘッジ対象の変動を直接,純損益で認識するため,非有効部分も純損益に計上されることになる。ヘッジ手段及びヘッジ対象の再測定により生じた利得または損失の非有効部分は,その他の包括利益から純損益に振り替えなければならない。