105号

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金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況41しかし,2011年4 月に公表された「IASB-FASB のコンバージェンス作業の進捗状況報告」の中で金融商品会計基準の開発状況について,「要求事....

金融商品会計プロジェクトにおけるIASBとFASBのコンバージェンスの状況41しかし,2011年4 月に公表された「IASB-FASB のコンバージェンス作業の進捗状況報告」の中で金融商品会計基準の開発状況について,「要求事項を改善し共通の解決に達するための我々の努力は,緊急課題の相違により複雑化し,開発日程の足並みが揃わなくなった。特に,G20首脳からの要請に対応して,IASB は金融商品の要求事項の置換えを段階的に行ってきたのに対し,FASB は単一の提案を作成した。こうした開発日程の相違等の要因により,両審議会は多くの重要な専門的な論点に関して共同提案を公表できなかった。両審議会が共同提案を公表しなかったので,異なるアプローチを一般のコメントを求めて公開する結果となった61」と述べられている。IASB とFASB のコンバージェンスの困難さは,原則主義と細則主義,公正価値測定の問題,概念の違い,投資家の意思決定に有用な情報を提供するための会計基準を作成しようとするIASB と国内の多様な問題への対応が必要となるFASB という立場や会計基準設定目的の違いといったことから生じていると考えられる。FASB が2008年6 月に公表したヘッジ会計の公開草案に対するコメントの多くに,US GAAP とIFRSs のヘッジ会計の相違をさらに拡大することになるのではないかという懸念が示された62というように,財務諸表の利用者,作成者等にとってもIASB とFASB のコンバージェンスが大きな問題である。本稿でみてきたように,フェーズ1 ではIASB とFASB のコンバージェンスの問題から公表された基準が適用できない状況となり,部分的に再審議となっている。フェーズ2,フェーズ3 ではコンバージェンスが困難な状況となっている。また,本稿では検討しなかったが,EU はIFRSs を導入したものの,IAS 第39号の一部(ヘッジ会計)についてカーブアウトしており,IFRS第9 号についてもエンドースされていない63。こうした点からもIASB にとって,金融商品会計基準におけるFASB とのコンバージェンスは重要な意味を持つこととなると考えられる。1 IASB, IASB Update, 7 Nov. 2011.2 IASB, IASB Update, Nov. 2011.3 IASB, IASB Update, 7 Nov. 2011.