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概要:
47 判例研究川崎協同病院事件最高裁決定   最(三)決平成21年12月7 日刑集63巻11号1899頁以下   稲  田  朗  子  1.事実の概要(1)本件犯行に至る経緯原原審である第1審判決1の認定した犯罪事実に....

47 判例研究川崎協同病院事件最高裁決定   最(三)決平成21年12月7 日刑集63巻11号1899頁以下   稲  田  朗  子  1.事実の概要(1)本件犯行に至る経緯原原審である第1審判決1の認定した犯罪事実によれば,本件の犯行に至った経過は以下の通りのようである。被告人は,平成6 年5 月から川崎協同病院の呼吸器内科部長に就任し,医師として患者の診療等に従事していた。昭和60年ころから主治医として担当していた本件被害者X(当時58歳)は,平成10年11月2 日から気管支喘息重積発作に伴う低酸素性脳損傷で意識が回復しないまま入院していた。被告人は,治療中のX について,延命を続けることでその肉体が細菌に冒されるなどして汚れていく前に,X にとって異物である気道確保のため鼻から気管内に挿入されているチューブを取り去って出来る限り自然なかたちで息を引き取らせて看取りたいとの気持ちをいだき,同月16日午後6 時ころ,同病院南2 階棟228号室において,X に対し,前記気管内チューブを抜き取り呼吸確保の措置を取らなければX が死亡することを認識しながら,あえてそのチューブを抜き取り,呼吸を確保する処置を取らずに死亡するのを待ったが,予期に反して,X が「ぜいぜい」などと音を出しながら苦しそうに見える呼吸を繰り返し,鎮痛剤を多量に投与してもその呼吸を鎮めることが出来なかったことから,そのような状高知論叢(社会科学)第105号 2012年11月1 横浜地判平成17年3 月25日刑集63巻11号2057頁以下,判時1909号130頁以下,判タ1185号114頁以下。