105号

105号 page 9/76

電子ブックを開く

このページは 105号 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
党派的に正確な投票は可能か72.さいたま市の選挙情勢と有権者の党派認識本節では,2007年4 月の統一地方選挙におけるさいたま市の情勢について説明し,本稿の従属変数である党派認識の正確性を明らかにする。2. 1.....

党派的に正確な投票は可能か72.さいたま市の選挙情勢と有権者の党派認識本節では,2007年4 月の統一地方選挙におけるさいたま市の情勢について説明し,本稿の従属変数である党派認識の正確性を明らかにする。2. 1. さいたま市における統一地方選挙の情勢さいたま市議会議員選挙においては,その他の市町村議会議員選挙と比べて,候補者の党派化が比較的に進んでいる。埼玉県議会議員選挙においては,都道府県議会選挙の例に漏れず,無所属の候補者はさらに少ない。また,政令市であるさいたま市においては,市議会議員選挙に際して行政区ごとに選挙区が設置される。定数が多様である複数の選挙区が設置される点において,市町村を1つの選挙区とする政令市以外の議会議員選挙とは大きく異なる。加えて,さいたま市における埼玉県議会議員選挙の区割りも行政区に沿っており,定数は一定ではない。さいたま市における2007年の統一地方選挙の立候補状況を表1 に示した。まず,さいたま市議会議員選挙について見てみよう。選挙区の定数は4(西区)から9(南区)まで,候補者数は6(西区,中央区,桜区)から14(南区)までの間に分布している。各選挙区に出馬している候補者の党派構成は,自民党と無所属がそれぞれ複数名,民主党,公明党,共産党は1 名ずつという選挙区が多い。無所属候補者の合計は31名であり,全体に占める割合は32.3%である。次に,埼玉県議会議員選挙に目を転じよう。選挙区の定数は1 と2 が半々である。候補者数は大宮区,桜区,緑区がそれぞれ2,岩槻区が4,残りは全て3 である。候補者の党派構成は,緑区を除く全ての選挙区に自民党が候補者を擁立する一方,民主党と共産党もいくつかの選挙区に候補者を立てている。公明党の候補者は北区の1 名のみである。無所属候補者は合計4 名であり,全体の14.3%を占める。党派化が進んでいる環境においては,政党を投票の基準とする有権者の数が多くなるであろうし,そのような有権者は候補者の党派をより正確に認識するであろう(逆もまたしかりである)。従って,国政選挙よりは党派化が進んでおらず,その他の市町村議会議員選挙よりは党派化が進んでいる本稿の事例は,