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100 高知論叢 第106号現段階では,遊休農地対策規定について,34条の勧告までと,35条以下の所有権移転協議から特定利用権の設定へと進む間の段差が大きいことが,本稿の考察からある程度明らかになった。特定利用....

100 高知論叢 第106号現段階では,遊休農地対策規定について,34条の勧告までと,35条以下の所有権移転協議から特定利用権の設定へと進む間の段差が大きいことが,本稿の考察からある程度明らかになった。特定利用権の設定等の規定が農振法から基盤強化法へとうつり,さらに改正農地法に移ってきたため,なじみにくいということが考えられるが,それ以上に都道府県知事へと事案が上げられていくことの隔絶感が大きいのかもしれない。法規定では所有者等が勧告に従わなければ自動的に調停申請をするかのようになっているが,現実には都道府県の担当部局に事前に問い合わせ等をするのが通例であろう。特定利用権を正式に設定するということになれば,都道府県に直接申請がスムーズに上がるような道筋を用意する必要があるのかもしれない。44条の措置命令についても同様に,農業委員会が市町村長に対して措置命令を依頼しやすい何らかの条件整備等が必要かもしれない。35条以下の規定の適用を考える現実的な緊迫感というものがないということであれば急ぐ必要はないが,市町村農業委員会は予め都道府県の担当部局に確認等をしておくことを検討しておいてよいのではないか。35条以下へは進まないということが続くのであれば,34条までで遊休農地を確実に解消する道筋を考えていくことも必要である。旧基盤強化法では,市町村基本構想という枠内で遊休農地の解消を目的とした特定法人貸付制度による新規参入が規定されていた。改正農地法では,一般法人等の貸借による農業参入と遊休農地対策は別個のものとなっており,一般法人が参入する際に特に遊休農地に入らなければならないといったことは,制度上はない。だが,参入は地域調和要件等に基づいて農業委員会が許可するのであるし,新規参入者が参入しやすいのは遊休化している農地か遊休化しつつある農地であるということもあるので,法規定にもう少し具体的にそのような方向付けをすることができないか。耕作放棄地対策については様々な補助金等が制度として設けられ35,それによって新規参入者が遊休農地解消に貢献している実態もあるから法規定にまでそのような方向付けは必要ない,という見方もあろうし,法で規制まで35 「耕作放棄地再生利用緊急対策」など。耕作放棄地の現状把握と対策に関する詳細について農林水産省ウェブサイト参照。http://www.maff.go.jp/j/nousin/tikei/houkiti/(2013年1 月参照)。