106号

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12 高知論叢 第106号ことは,旧勢力の後退を象徴するものであった。明治4年8月10日における大きな職制変化は,位階制と官等制の連動が名目上は廃止されたことである。1か月前の位階制とは別に,十五等官までの職....

12 高知論叢 第106号ことは,旧勢力の後退を象徴するものであった。明治4年8月10日における大きな職制変化は,位階制と官等制の連動が名目上は廃止されたことである。1か月前の位階制とは別に,十五等官までの職制が定められ,太政大臣,左右大臣,参議の三職は省長官の上に列す,とされた。位階制が廃止されたわけではなく,その後も位階は与えられた。府知事は従三位,県知事は従四位とした。そして,親任官,勅任官(一等官から二等官),奏任官(三等官から九等官)判任官の区分による官吏等級が定まった。明治5年1月20日の官制では一等官から十五等官の職制は変化がなかったが,太政官正院の権限が強化され,正院の一等官には太政大臣,左右大臣,左院議長,右院諸省長官各省卿がいずれも同格の一等官となった。このことは公卿出身の大臣と藩士出身の官僚が,全く同格の官吏となった官制改定であった。府知事県令は三等官と四等官に,陸海軍大将は二等官,中将は三等官,少将四等官であり,神官は別途官制が定められた。明治7年12月,太政官制改正に準拠した新官制表が制定された。正一位から従九位まで十八階級の位階は品位表とされ,官制表と分離された。同官制改定では太政官における正院とその事務局の権限が強大となったが,官制表にもそのことが表れている。太政官制では,太政大臣,左右大臣と参議は格差があったが,同官制では,一等官に太政大臣,左右大臣,参議が同列に位置づけられ,各省卿も一等官とされた。軍卿,陸海軍大将,開拓使長官も一等官に任用された。府知事は三等官,県知事は県令と改められ四等官となった。また琉球藩藩主も一等官,琉球藩摂政は四等官に任用された。表4 明治初期位階制の変化従一位正二位従二位正三位従三位正四位従四位明治2年7月神祇伯・太政大臣左右大臣省卿兵部卿大藩知事中藩知事小藩知事明治2年8月左右大臣神祇伯・大納言参議府知事県知事大将大輔・中将少輔丞・少将明治4年7月太政大臣納言参議左院議長枢密大史右院長官式部局長