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14 高知論叢 第106号明治5年以降の官等表では一等官が元帥,大将,卿が同格であるが,明治6年以降,二等官が中将,三等官が少将,四等官が大佐,五等官が中佐に変更され,それぞれの官位に対する軍階級が改訂され....

14 高知論叢 第106号明治5年以降の官等表では一等官が元帥,大将,卿が同格であるが,明治6年以降,二等官が中将,三等官が少将,四等官が大佐,五等官が中佐に変更され,それぞれの官位に対する軍階級が改訂された。また文官同様に,軍の官位には,親任官,勅任官,奏任官の区分が明示された。親任官,勅任官,奏任官の区分は統帥権者,総覧者からの叙任形式による区分であり,親任官は原則として,天皇親臨による親任式を経て任官される職であり,武官は階級と対応した。武官は親任官となるのはあくまで陸海軍大将のみであるが,親任官相当の職として宮中において親補式を以て補職される親補職が設けられ,中将以下が就いた時もある。勅任官は,天皇の裁可,勅旨によって任用される官吏であり,奏任官も天皇への奏上,裁可を経て任用される13。1893年に制定された文官任用令以降,奏任官は文官高等試験合格者が任用されることが条件となったが,すでに高等官となっていた勅任官以上は除外された。高等官は勅任官,奏任官を総称し,一・二等官であるが親任官を除外する場合もある。親任官は一等官,勅任官は一等官~三等官に対応した。高級武官も士官学校卒業者が士官に任用された。明治9年1月15日,太政官第一号陸軍省職制及事務章程において14,重要な軍13 上奏:天皇に意見などを申し上げること。奏上:天皇に希望または意見を奏聞すること。奏任:奏聞官に任じる奏薦。内奏 :内密に天皇に奏上すること。内々奏:内奏の前にお上の意向を確かめるための奏上。伝奏:側近が上奏者に代わって上奏したい事を伝えること。上奏の権限を利用して権力を掌握。上奏の内容をめぐってしばしば権力闘争が起こった。律令制における上奏は,意見封事の上表(政事に関する上奏)と訴訟の上表(訴訟に関する上奏)とに大別される。内奏は天皇に対して国務大臣などが国政の報告を行うことである。人事考課に関する上表が多かった。上奏の形式も,律令制以前からの伝統として女官が取次役として介在していたが明治初年,女官の介在が官僚派によって一掃され,侍従の介在が定着した。公文式では(明治19年),法律・勅令の公布について上奏する事が規定された。内閣(内閣総理大臣・各省大臣)が制度化された中で,上奏は大権行為となった。奏上は,法律上の根拠がなければならないとされた。軍状の報告や検閲,考課報告等は上奏とは言い難いが,軍は後述のように上奏に入れている。14 太政官第一号陸軍省職制及事務章程の重要条項は以下の通り,第4条凡卿ハ将官ヨリ之ニ任ス 第9条 陸軍文武官員奏任以上ノ進退ハ太政官ニ於テ命スト雖モ其勤怠ヲ監察シ能否ヲ甄甄別シ進級條例ニ照シ黜陟ヲ具状スルハ卿ノ任トス 第18条 凡陸軍省内諸局諸課ノ長官ハ武官ヨリ任スルヲ例トス然レトモ時宜ニヨリ何等出仕等ノ称ヲ以テ之ニ任スルモノアルヘシ 第20条 凡侍従武官ハ別テ三等トス 一等侍従将官一人陸軍少将ヨリ