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武官の人事評価に関する歴史的研究15制に関する事項が制定された。同章程では軍の高官の職制,進級とその後の陸海軍の役割が決定され後世まで継承される事になった。それは大要以下の事項であった。①陸海軍省のトッ....

武官の人事評価に関する歴史的研究15制に関する事項が制定された。同章程では軍の高官の職制,進級とその後の陸海軍の役割が決定され後世まで継承される事になった。それは大要以下の事項であった。①陸海軍省のトップは将官から選出すること,現役武官如何に関わらない。②軍奏任官以上の進級は軍のトップの任であり,太政官,文官は関与できず,陸軍省内局長は武官であること,③1等侍従武官は陸軍少将と近衛将官を兼務し,陸軍だけが侍従武官長の定員であること,などを取り決め,以後これが先例として遵守された。以上の様に,参謀本部設立以前の早い時期から軍人事は文官とは独立していた。4.叙勲制度による武官職制の完成(1)叙勲制度の意義叙勲制度によって武官の職制は完成した。武家社会では,功を挙げたものに対して主君が所領の付与とは別に,表彰の書き付けを与え,自身が所有する手回り品を下賜する慣行があった。こうした品は後の勲功と同様の意味を持っていた。禄高を有した武士は家禄の変遷とともに藩の人事記録の中に残された。拝領の金品は勲功を示す証拠として大切に子孫に受け継がれた。維新政府において明治初年に行われた戊辰戦役の論功行賞時から勲功自体は実施されており,それは天皇の重要な国事行為であった。維新政府にとって,天皇からの叙勲を制度化することは以下の様な特別の意義があった。①戊辰戦争以来の戦後論功行賞に統一基準を作った。②叙勲によって天皇による人事親裁が,すべての官吏に拡大した。③官職階制と考課に叙勲が,その正当性と神秘性を与えた。④文武高官に求心力を与えた。⑤外国の公人にも与えられ,叙勲を外交に利用した。⑥洋装に適したデザインの勲章を叙することによって,内外への文明開化の発信となった。⑦高位勲位者から下位まですべての受勲者には一時金と年金が与えられ,叙勲は生涯給与を補完するものであった。特に高位受勲者には高額の年金,一時金が下付された。任シ近衛ノ将官ヨリ之ヲ兼ス