106号

106号 page 35/110

電子ブックを開く

このページは 106号 の電子ブックに掲載されている35ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
武官の人事評価に関する歴史的研究33個人別考課表は部隊長が保管し,個人別考課は進級名簿作成に活用される。個人別考課表はあまりに膨大であるので,そのままの形では本省に報告された訳ではない。士官以上の考課表....

武官の人事評価に関する歴史的研究33個人別考課表は部隊長が保管し,個人別考課は進級名簿作成に活用される。個人別考課表はあまりに膨大であるので,そのままの形では本省に報告された訳ではない。士官以上の考課表は清書され,部隊毎に一覧表か冊子状にして,陸海軍各部局から本省の人事部に提出される。以下は昭和18年の士官考科表であり,本人の事情欄には個人情報ももれなく記載されている。考課表意見書は海軍連隊長が記載したものである36。 考課意見書連隊長 ?  連隊長(調整官)?考課対象者: 少佐 T・I体格健康:頑強ナラザルモ普通ノ勤務ニ支障ナシ 腹膜炎ノ既往症アリ性格:誠実率直ナルモ時ニ圭角ヲ顕スコトアリ統率:厳正ニシテ部下ノ掌握確実 統御ノ要ヲ会得シアリ識見技能:階級相当ノ識見技能ヲ具備ス 軍事学ノ識見ハ概ネ良好ナリ服務:熱心努力シ諸事積極的ナリ総合判定:長所 積極的 短所 協調性ヲ欠ク 将来ノ見込:将来相当発達スルベシ適任職:配属将校本人の事情 本人: 戸主 妻:後妻 養女アリ 健在 妻ハ本籍地ナリ 養女ハ保姆養成所ヘ入所中ニテ本年三月卒業予定 家庭円満本省に提出された考課表の中で現存しているものは多くはないが,以下は,昭和20年に,鎮海海軍施設部37から本省に提出された定期考課報告の事例である。36 海軍省「士官考科表」昭和18年防衛省防衛研究所史科所収調整官である連隊長の意見書には短所の記載はないが,他の事項はほとんど同じ記載である。37 鎮海海軍とは現在の大韓民国昌原市鎮海区にあった海軍施設部であり,明治37年巨済島に防備隊が設置され,その後鎮海防備隊,要港部となった。