106号

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34 高知論叢 第106号 定期考課表3(8 鎮海海軍施設部長提出)被考課者氏名:F・M39接する期間:1年11か月 年齢:30歳 階級:技術曹長,特務士官,準士官本人申告:特記なし,普通部署:隊道コンクリート家族構....

34 高知論叢 第106号 定期考課表3(8 鎮海海軍施設部長提出)被考課者氏名:F・M39接する期間:1年11か月 年齢:30歳 階級:技術曹長,特務士官,準士官本人申告:特記なし,普通部署:隊道コンクリート家族構成:父母,妹,叔母健在性行:甲中 性温和円満ニシテ注意力綿密ナリ特技:甲中 判断力正確ニシテ注意力綿密ナリ勤務:甲中 忠実ニシテ不断努力アリ 総合判定:甲中調整官署名 T.N    K?以上はT.N 氏の例であるが,同部局において考課表を提出したものは,同氏を含めて,海軍技術曹長30名,少尉9名,合計39名であった。この部局の事例では,考課の記述は型にはまった文章であった。総合判定の結果は上記の例は甲中であるが,39名すべて,甲上,甲中のみであり,甲下,乙とする考課はなかった。考課はごくまれに乙,丙もあったであろうが,考課を低く自己申告する事は上官の職責が問われるものであり,甲上,甲中が大半であった。上記事例の考課表を受理した本省内局のトップは施設本部(本部長鍋島茂明中将),人事局(人事局長大野竹二少将)であった。考課表の報告に関しては,陸軍省元人事局長中将額田坦は次のように疑問を呈している40。「一時期の考課表を過信するは間違いである。的確でなく過大に記入されるものがある。士官学校,陸大の考課は疑問であり,首席,成績と進級の相関関係はない」41 但し,額田は,とかく軍の人事が不明朗,不透明であり,軍人事が軍と日本を破滅させたという風説を批判し,人事は妥当なものであっ38 海軍省「定期考課表 昭和20年7月5日 鎮海海軍施設部長」防衛省防衛研究所史料所収39 個人情報であり頭文字のみを記入40 『額田坦回想録』1999年8月 芙蓉書房42頁~44頁41 同上書41頁花押