106号

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36 高知論叢 第106号年2度であり,決済期は毎年10月とされた。また,抜擢名簿作成について次のように定められた。抜擢官は第一判定官から第三判定官まで定めること,進級は同時に二名以上の場合は停年順序に従って....

36 高知論叢 第106号年2度であり,決済期は毎年10月とされた。また,抜擢名簿作成について次のように定められた。抜擢官は第一判定官から第三判定官まで定めること,進級は同時に二名以上の場合は停年順序に従って進級する。抜擢官は上の長官とすること,抜擢名簿は考課表の写しを添えて雛形の名簿を提出することなどが示された44。進級取扱規則と同時に考課規則も改定された。同年陸達七十六号では,陸軍武官考課表規則45が以下のように定められた。第一条では,「陸軍武官考課表ハ上長官,士官,下官ノ才能技倆其他一身上ニ係ル諸藩ノ事項ヲ詳悉シテ考課ノ用ニ供スルモノトス其要旨概ヲ左ノ如シ 一,性質,気概,体格 二,出身時ノ景況及進級ノ経過 三,勤務上ノ結果 四,学術上ノ技能及特有ノ技能 五,義務心ノ状態 六,家計ノ景況及交際ノ景況 七,既往ト現在ノ変易及将来ノ見込」毎年12月31日に「補筆,訂正し,正本,副本を置く」とあり,以後進級は先例が慣例となり,陸海軍人事部条例,同服務条例等に受け継がれた。明治44年12月9日,勅令第285号,陸軍軍人服務令46が制定され,以下のように将校の現役停年が示された。第十七条 将校の服役には,将官の現役停年年齢について,大将65歳,中将62歳,少将58歳,大佐55歳,中佐53歳,少佐50歳,大尉48歳,中少尉45歳とされた。元帥は現役停年年齢を定めなかった。大正5年8月14日,勅令第199号によって陸軍武官進級令が改正され,実役停年,抜擢,各将官階級毎の進級基準が示された。将官を除く武官の抜擢,進級の権限は上官将校にあるが,大権に属する将官の進級,抜擢は天皇の上旨に出,内旨を大臣に諭すこと,特に,大将人事については「功績特ニ顕著特旨親任」する事とされた47。第8条では,実役停年ニハ兵科を転ジタ年数を通算す44 抜擢名簿雛形には,以下の項目がある。抜擢順序,進級階級,停年年月,姓名,前書之通抜擢者取調考課表写相添進達仕候也,年月,職官姓名,印陸軍大臣・姓名・殿,進級期,毎年三月三十一日まで,八月三十一日までの二度,決済期 毎年十月,被抜擢者 抜擢官 抜擢判定官 候補者裁決官 歩兵中隊 中隊長 大隊長・連隊長・旅団長 都督・師団長等45 同上 陸達七十六号 明治22年5月8日46 海軍人事部条例 勅令325号明治44年12月9日勅令第285号47 第4条 陸軍武官(将官相当官ヲ除ク)ノ抜擢,進級候補ハ上官タル将官職権ニ依リ之ヲ選定シ其ノ上官タル将官選定ノ可否ヲ判定スルノ権ヲ有ス,将官相当官,各部准士官