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武官の人事評価に関する歴史的研究39(3)進級の停滞と早期除隊上記の例は中佐,中尉の進級に関する抜擢であるが,大佐から少将への進級は重要な進級人事であった。上記陸海軍陸海軍武官進級令においては,実役停年....

武官の人事評価に関する歴史的研究39(3)進級の停滞と早期除隊上記の例は中佐,中尉の進級に関する抜擢であるが,大佐から少将への進級は重要な進級人事であった。上記陸海軍陸海軍武官進級令においては,実役停年2年となっているが,大佐から少将への進級は停滞し,大佐整理,即ち早期除隊にむけて誘導する事が人事部の重要な課題であった。陸海軍本省においても大中佐整理が重要な課題であった。「昭和5 年大中佐整理海軍人事局長説明草稿」では次の様に記されている。「戦艦比叡艦長 金剛艦長 正直,几帳面,至誠,奉公,だが意気に乏しい。事務的才至誠,奉公の風あり」51 として海軍艦長の人事評価を個別に行い,大佐から将官への進級を抑制しようとした。海軍本省人事局進級会議において,個人別の考課に基づき進級を決定した。特に大佐から少将への進級は最も重要であった。M・Y大佐の評価と勇退について人事局長は以下のように述べた。「Y大佐ハ前年呉国在勤中ニ酒ノ上デ不謹慎ナルコトアッテ以来毎年進級会議度毎ゝ其人物ヲ批判サレタノデ水雷兵器ニ造詣ガ深ク…其後立派ニツトメアゲラレ村瀬級モ数ノ上カラモ整理ヲ必要トスル今日デアリマスカラ今度少将ニ進級スルヲ機会ニ勇退セシメラルヲ宜シカラント思フ」52下記文書は,大佐から少将への進級が4年大佐までに完了していたが,「支那事変」以後士官が増加した結果,5年,6年大佐が多くなったことを人事局長は明らかにし,不進級者は重要ポストに配置せず不進級を本人に自覚させるよう考慮せよと述べている。「大佐級ノ整理ハ従来四年大佐迄ニテ概ネ完了シ大佐以上ハ少将進級予定者トナス方針ナリシモ,シナ事変後五年大佐ヨリ六年大佐ニ進ムト少将進級予定者ノミヲ残スガ如ク変更セラレ,更ニ昨十五年ニハ少将進級ノ見込無キ者モ整理ヲ延期シ六年大佐ニ残シタリ(其ノ理由ハ要員ノ増加ト戦時即応ニ在リキ)然シ同列者ガ少将ニ進級スルニ,現役ノ大佐ニ残シ置クハ好マシカラズ,六年大佐ノ司令官モ相当出来ル状況ニ於テ,先後任順序指揮権ノ関係等復(複)雑トナル惧モ有ル故,少将不進級ノ六年大佐ハ過日予備51 海軍省「海軍人事局長説明草稿 大中佐整理」昭和5年防衛省防衛研究所史料所収52 海軍省「海軍士官人事ニ関スル局長説明」大正12年~昭和8年 海軍省人事局長「昭和14年海軍人事局長口述覚」防衛省防衛研究所史料所収