106号

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40 高知論叢 第106号役編入即日召集トナレリ,十七年度ニ於テモ六年大佐ノ内ニ少将不進級ノ予定者ガ含マレアリ,此等整理延期者ハ重要ポストニ配置スルヲ避ケ,自然ニ不進級ヲ自覚セシムル如ク考慮セリ」53以上の様....

40 高知論叢 第106号役編入即日召集トナレリ,十七年度ニ於テモ六年大佐ノ内ニ少将不進級ノ予定者ガ含マレアリ,此等整理延期者ハ重要ポストニ配置スルヲ避ケ,自然ニ不進級ヲ自覚セシムル如ク考慮セリ」53以上の様に,日中戦争以降,司令官以上に関しては,武官進級令が有名無実化していたことになり,6年大佐が多くなったと述べている。ところが,以下の海軍省文書「大佐級ヨリ少将級ヘ進級について」(海軍省人事局長文書)では10年以上の間大佐級身分である者が常態化していた事を示している。「将官勅任サレルト言フコトハ,武人ノ最モ栄誉トスル所デアリ,生涯ヲ通シテ駕殊過ニ欲スル身分デアル以上,其人撰ニハ最モ厳密ナル詮衡ヲ必要トスルハ申迄モナイコトデアリ…苟クモ少将ニナル位ナ時ニハ各class ヲ通シテ凡ソ大差ノナイ分割ニ条レバ上等スァリマスガ,一方デ定員トノ関係モアリ,又兎角class ニ依テ出来不出来モアリマシテ必ズシモ平等ハ望ミ得ナイ…十年大佐二十三名ガ全部進級スルト致シ又明年モ十一年大佐二十一名ガ全部進級致シマストシテ,中村,波多野,村瀬,今村トイウ四class ガドンナ結果ニナルカトイウコトヲ調ベテ見マママスト」54,と海軍省人事局は次の様な資料(表12)を進級会議に提出した。今村(信次郎)クラスとは海軍兵学校30期卒業生(明治35年卒業)を指す,村瀬(貞次郎)クラスとは29期(明治34年卒業),波多野(貞夫)クラスとは28期(明治33年卒業),中村(良三)クラスとは27期(明治32年卒業)を指し,大佐時における期別優秀卒業生名をクラス名としている。ただし兵学校首席卒業生で大将になった人物は,27期の中村良三のみであり,少将以降において進級が逆転した。その他,大将,元帥に昇進した人物は,27期の末次信正 ,28期の永野修身,29期の高橋三吉・藤田尚徳・米内光政,30期の百武源吾であった。同表の“有効”とは少将への進級可能な割合を示す。「明年以降モ大抵17~18%ノ見込」という記述から,海軍兵学校修了者のうち大佐から少将への進級について,海53 海軍省「海軍人事局長申継覚」島本大佐整理一件 昭和16年10月防衛省防衛研究所史料所収54 海軍省「昭和14年海軍人事局長口述覚」「海軍士官人事ニ関スル局長説明」防衛省防衛研究所史料所収