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42 高知論叢 第106号軍人事部による見込が示されている。人事部は将官への進級は大差なく進級することを狙っていたが卒業年次ごとのバラツキがあり,定員枠年次ごとの“出来不出来”(人事考課上の)が問題であった....

42 高知論叢 第106号軍人事部による見込が示されている。人事部は将官への進級は大差なく進級することを狙っていたが卒業年次ごとのバラツキがあり,定員枠年次ごとの“出来不出来”(人事考課上の)が問題であった。以上の様に海軍の場合,佐官から将官への進級は,同資料を見る限り陸軍より広き門であったが,年功序列と考課を併用した進級人事が行なわれていた。戦死者が特進することは一般化していたが,昭和初期において戦死者が急増し,生死不明の者が多くなった事によって,海軍は次のような達を出した。戦死発表ニ関スル件申達 「国内與論指導ニ及ボス影響ヲ考慮シ之ヲ行フモノトス」55,陸軍も進級については,「死亡認定不明共取扱慎重ヲ期ス」56,いずれも人事局から起案した達であった。海軍大臣は昭和4年,海軍進級会議において以下の様に挨拶した。大臣原稿を書いた人物は内局の人事課長である。「定員現員ト予算ノ関係カラ申シマスト各科各級ノ進級員数ハ相当緊縮方針ヲ採ルノ必要モアリマスノデ種々研究致シマシタ…整理淘汰ニ就キマシテハ人心ノ安定ヲ考慮シマシテ出来ル限リ少数ニ留ムルコトニ努メタ」57昭和14年,海軍人事局長は肥大化した組織を整理する案件について以下のように述べた。「此度ノ行政整理ニ於テ本省其他部ノ制度ヲ改メラレ,又予備組織ヲ整理サレタリ,又廃棄処分ヲ致シマシタ結果各部ヲ通シテノ定員減ハ 士官142名,特務官・準士官116名,下士官兵2,202名,合計2,578名」58元陸軍人事局長は考課と進級の実態について以下のように述懐した。「大尉以上には各兵科ごとの階級人員が算定されており,欠員があると他に関係なく進級した」59 規則上の実役停年は,中将4年,少将3年,佐官2年,大尉4年,中少尉2年であったが,停年に関係なく陸軍の将官への進級は停滞した。中少55 海軍省「海軍省人事局長申継覚」人事局長「各海軍人事部長 戦死発表ニ関スル件申達」防衛省防衛研究所史料所収56 陸軍省「二階級進級法制」昭和15年9月14日陸達63 海軍省昭和16年1月26日海達11号57 海軍省人事局「昭和4年進級会議 海軍大臣口達覚」防衛省防衛研究所史料所収58 海軍省人事局長「昭和14年海軍人事局長口述覚」防衛省防衛研究所史料所収59 前掲『額田坦回想録』41頁,48頁