106号

106号 page 47/110

電子ブックを開く

このページは 106号 の電子ブックに掲載されている47ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
武官の人事評価に関する歴史的研究45級における任務遂行能力であるが,各階級,職階によって停年年数があらかじめ決まっており,士官学校卒業年次を基準とする年功序列を前提としていた。その上で進級すべき階級が定....

武官の人事評価に関する歴史的研究45級における任務遂行能力であるが,各階級,職階によって停年年数があらかじめ決まっており,士官学校卒業年次を基準とする年功序列を前提としていた。その上で進級すべき階級が定員を満たし,過員になった場合において退役が勧告されるという厳格な人事管理が行なわれた。これは今日の官僚の人事管理まで継承されている。第3に,後方支援,前線,内局を問わず進級,異動は行われたが,参謀科,憲兵科,歩兵科,騎兵科,砲兵科,工兵科,輜重兵科などの兵科別による専門職化の傾向が見られ,それぞれ専門職としての考課が進級にとって重要な意味を持った。日本の武官制度の枠組みは,国民皆兵と高等武官制度を早期に採用する事によって,国民を職能によって統合するに等しかった。軍組織を人体に例えれば,国民は手足であり,将官は頭脳であった。軍は国民によって支えられているとはいえ,歴然たる階級格差が存在したが,それは日本の位階制による身分秩序に根ざしたものであった。昭和初期において,皇軍の権力とアジアへの支配権が拡大すると,軍は組織改革と近代化の必要性,統帥権の統一を実現させるという課題が顕在化した。それは天皇親裁という憲法の原則と,それを実際に運図5 武官の職能的人事評価の枠組み進級/ 異動人事考課職能資格階級位階制勲功国民皆兵在郷軍人⇔