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75 論 説2009年農地法改正における遊休農地対策規定とその適用の現段階緒  方  賢  一  1 はじめに2009(平成21)年に農地法が改正されて3 年あまりが経過した。「平成の農地改革」1 と銘打って進められ....

75 論 説2009年農地法改正における遊休農地対策規定とその適用の現段階緒  方  賢  一  1 はじめに2009(平成21)年に農地法が改正されて3 年あまりが経過した。「平成の農地改革」1 と銘打って進められた法改正2は,農地の利用の確保を前面に,新たな担い手の農業参入を図るため,それまでの耕作者主義を改め,貸借による農業参入を事実上自由化したことが最大の特徴である。農外からの農業参入がそれまで以上にしやすくなり,例えば法改正で新たに農業参入が可能となった一般法人は,2009年12月から2012年12月までの約3 年間で1,071法人が参入した3。それ以前の6 年半に参入した436法人と比較すると2 倍以上増加しており,法改正によって新たな担い手の確保が一定程度なされつつあるとの評価が可能である。一方,改正により農業委員会が中心となって総合的な対策を行うこととなった遊休農地,耕作放棄地4は2010(平成22)年に396,000haとなり,農地面積の8.6%高知論叢(社会科学)第106号 2013年3 月1 原田純孝「新しい農地制度と「農地貸借の自由化」の意味」『ジュリスト』1388号13頁~20頁,2009年。2 平成21年6 月24日法律第57号。以下本稿では「改正農地法」とする。3 農林水産省ウェブサイト「一般法人の農業参入の動向」http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/pdf/sannyu.pdf(2013年2 月参照)。4 「耕作放棄地」とは,農林業センサス上の用語で「以前耕作していた土地で,過去1年以上作物を作付け(栽培)せず,この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地」と定義される。一方「遊休農地」は改正農地法30条3 項で「一 現に耕作の目的に供されておらず,かつ,引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地 二 その