106号

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76 高知論叢 第106号にまで増えてきている5。法改正では,遊休農地対策に関する一連の規定を農業経営基盤強化促進法から農地法に移行し,さらに対策を強化・拡充し,全ての遊休農地を把握しその解消を図っていくこ....

76 高知論叢 第106号にまで増えてきている5。法改正では,遊休農地対策に関する一連の規定を農業経営基盤強化促進法から農地法に移行し,さらに対策を強化・拡充し,全ての遊休農地を把握しその解消を図っていくことを目指しているが,例えば2011年に再生利用された面積は12,000haに留まっており6,解消に向けた取り組みを一層強化することはもちろん,規定の実効性について十分な検証をすることも必要と思われる。改正農地法は第1 条で,農地は「国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり,かつ,地域における貴重な資源である」から,効率的な利用を図り,転用を阻止し,農業上の利用を確保すると規定している。第2 条の2 では,農地について権利を持つ者は「農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならない」として,その責務を明確化している。どちらの規定からも遊休農地はなくしていくべき存在であり,遊休農地を解消するための措置として,農業委員会による遊休農地の把握に始まり,農業委員会の指導,遊休農地である旨の通知や勧告を経て都道府県知事の裁定による特定利用権の設定や市町村長による措置命令へと至る規定が設けられている。本稿では,遊休農地対策が法律上どのような形で規定されてきたか,その変遷を概観し,2009年改正で遊休農地対策規定がどのようなものになったのかを検証した上で,具体的にどのような適用がなされているのかを実態調査に基づき明らかにし,遊休農地対策規定の現段階を示す。その上で,遊休農地対策の今後について,さらなる法改正の要否も含め検討してみたい。2 遊休農地対策規定の沿革2-1. 遊休農地に関する対策規定の法規定への登場法律上の文言として,遊休農地に関する措置の規定がおかれたのは,1989農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる農地(前号に掲げる農地を除く。)」とされている。本稿では原則として「遊休農地」を用いる。5 農林水産省「農林業センサス」。6 農林水産省「平成23年の荒廃農地に関する調査の結果」について(平成24年12月19日)。