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80 高知論叢 第106号等が参入法人に対して農地をリースするとなっていた17。市町村基本構想という枠内で両者が連動するようになっており,実際にこの規定通りになったのかどうかはともかく18,遊休農地解消を市町村....

80 高知論叢 第106号等が参入法人に対して農地をリースするとなっていた17。市町村基本構想という枠内で両者が連動するようになっており,実際にこの規定通りになったのかどうかはともかく18,遊休農地解消を市町村の事業として積極的に行えるようになっていたところに,今日の農地法との相違を見出すことが可能である。3 2009年農地法改正と遊休農地の適用概況3 -1. 2009年農地法改正における遊休農地対策規定2009年6 月,農地法が改正され,同年12月に改正農地法が施行された。「平成の農地改革」と言われたこの改正は,「農地の利用確保」が最大の目的であった。そのために貸借による一般法人等の農業参入を認め,農業生産法人の要件を緩和し,農地下限取得面積を弾力化するなどして,多様な担い手による効率的な農地の利用を推進することを目指している。一方で,農地に関する権利を持つ者の責務を明確化し,農地転用許可の厳格化,相続等による農地の権利取得の届出義務化,遊休農地対策の拡充・強化等を図ることによって農地の減少を食い止め,適正な利用を確保することを目指している。2009年農地法では,基盤強化法上の一連の遊休農地対策規定が農地法に移行した。改正後の遊休農地対策規定は,農業委員会による農地の利用状況調査(30条1 ,2 項)に始まり,適切な利用を促す指導(30条3 項),遊休農地である旨の通知(32条),通知に対する利用計画の届出(33条)へと続く。利用計画が17 「農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案(骨子)について」(平成17年2 月農林水産省)農地制度資料編さん委員会前掲注16,25頁。18 例えば「都市農業成長特区」として一般法人への農地貸付を2003(平成15)年から開始した神奈川県小田原市では,NPO 等の7 法人が農業に参入した(ほかに市民農園開設1 )が,参入面積は合計で8.4haであり,市内の要活用農地135.5haの6 %であった。また,参入することができる地域は市内の農業振興地域全域とされ,「遊休農地」だけでなく「遊休化のおそれのある農地」も入っていたため,中には自ら参入予定地の地権者等と予め交渉してから申請し,平場の条件の良い地域に参入した法人もあった。また,条件の非常に厳しいところに参入した法人がさらに借り入れ地を増やす際に,前回より条件のよいところにしか参入できないとした例もあった。緒方賢一「都市的地域における遊休農地の活用に向けて  小田原市の特定法人貸付事業を事例として 」『平成19年度遊休農地の活用のための方策に関する調査研究』(農政調査会 2008年)21? 58頁。